
企業の人材育成を国がサポートする人材開発支援助成金は、
「うちは研修を委託できるほど資金的な余裕がないからOJTで十分」
「少人数の職場だから社員を教育する人材がいない」
といった企業が、新たに社員のスキルUPを図ることで生産効率の改善によるコスト削減を達成したり、新規ビジネスの開拓で売上を伸ばしたりするのに有効な制度です。
この記事では、企業の人事担当者や経営者の方に向けて人材開発支援助成金の仕組みや活用方法をわかりやすく解説します。
目次
人材開発支援助成金の全体像
厚生労働省によると、人材開発支援助成金は次のように定義されています。
事業主等が雇用する労働者に対して、職務に関連した専門的な知識及び技能を習得させるための職業訓練等を計画に沿って実施した場合等に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部等を助成する制度。
簡単にいうと、社員をスキルUPさせる研修や研修中の給与の一部を国が支援します!というものです。
人材開発支援助成金には以下の7つのコースがあります。
・人材育成支援コース
・事業展開等リスキリング支援コース
・人への投資促進コース
・教育訓練休暇等付与コース
・建設労働者認定訓練コース
・建設労働者技能実習コース
・障害者職業能力開発コース
この記事では主に、多くの企業が抱える人材不足やイノベーションといった課題解決につながる2つのコース(人材育成支援コース・事業展開等リスキリング支援コース)を中心にお伝えします。
2つのコースをかんたん解説
1.人材育成支援コース
人材育成支援コースは、
・社員に仕事で使える新しいスキルや知識を教えるための研修
・アルバイトやパートから正社員になるための研修
・実際に仕事をしながら学ぶOJT(職場内訓練)
などにかかるお金や研修期間の給料の一部を国が支援してくれます。
人材育成支援コースのパンフレット(2026年3月改正版)
https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001664038.pdf
2.事業展開等リスキリング支援コース
事業展開等リスキリング支援コースは、企業が新しいビジネスを始めるとき、その新しい成長分野で必要なスキルや知識を社員にマスターしてもらう研修を行う場合、その研修費用や研修中の給与の一部を国が支援してくれます。
新しいビジネスや新しい分野とは、主にDX(デジタルトランスフォーメーション)やグリーン・カーボンニュートラル化が推奨されています。たとえば、サイバーセキュリティのための人員増加、レジや在庫管理の自動化、土木や建築工事にドローンによる測量の導入などが当てはまります。
とりわけ事業展開等リスキリング支援コースでは、2026年3月に制度改正があり、人事戦略(配置転換により新たなスキルを必要とするなど)による社員教育も対象となりました。
事業展開等リスキリング支援コースのパンフレット(2026年3月改正版)
誰でも助成金を申請できる?
人材開発支援助成金は、雇用保険の適用や研修計画の作成など、国が定める受給条件をクリアしていれば人材育成に取り組む全ての企業が申請できます。そのため、人事担当者や経営者の方は要チェックです。
詳しくは、助成金をもらうためにどの企業にも共通する要件(https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001511384.pdf)と、各コースのパンフレット内に記載されている支給対象事業主等の欄をご確認ください。
助成金はいくらもらえるの?
研修や研修期間における給与の一部など、人材育成コストを国が支援してくれるというけれど、実際のところ助成金はいくらもらえるのか?気になりますよね。
研修やトレーニングの内容によって異なりますが、条件次第では教育費用の大部分を助成金でまかなうことが可能です。以下は各コースの助成率と助成額です。
人材育成支援コースの助成率と助成額

出典(https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001664038.pdf)
事業展開等リスキリング支援コースの助成率と助成額

出典(https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001664045.pdf)
ちなみに、Winスクールでは助成金算出シミュレーターをご用意しており、実際に助成金がいくら出るのか秒速でわかります。
シュミレーターはこちらから ➡ https://www.winschool.jp/corporate/sim_subsidy.html
助成の対象となる経費
社員に対しての研修・トレーニングにはさまざまな経費がかかりますが、各パンフレットの受給条件からもわかるように、助成の対象となる経費とならない経費があります。
たとえば、この記事をお読みいただいている方の企業が、社員にWinスクールの生成AI関連講座を受講させるとします。その場合、受講料や教材費のほか、講師の派遣を依頼するときの旅費交通費や研修で使用するセミナールームの借料なども経費として認められます。
一方、外部講師を呼んだときの食費や繰り返し使える社内用のパソコン・学習動画など、対象範囲を超えるものは助成対象から外れます。
ただ、研修やトレーニングの内容によって助成対象の範囲が異なるので、各コースのパンフレット内に記載されている対象となる経費等・対象とならない訓練、経費等の欄をよく確認しましょう。
助成金活用による研修の効果
人材開発支援助成金によって社員に対する教育コストがどのくらい削減できるかはわかったけれど、企業として教育効果は実感できるのでしょうか。
実際に助成金を活用した企業の声
〇情報通信業(従業員20名・事業内容:インターネット関連事業)の活用例
(助成金活用前の課題)
組織力強化のため、高度なデジタル分野の資格を持った核となる人材を育てることが課題。計画的な業務命令ではなく個人任せにしていたため、今までは受験に繋がっていなかった。
(研修の効果)
資格を取得してさらに専門的な知識を身につけることで、プロジェクトの管理等を行うことが可能となり、管理職へ登用することができた。高度な資格を保持している従業員がいることが企業の強み(アピールポイント)にもなっている。
〇製造業(従業員130名・事業内容:自動車部品製造)の活用例
(助成金活用前の課題)
個々の従業員にあった訓練を探す手間や、複数契約するため訓練費用が高額であり、訓練の機会を減らさざるを得ない状態となり、結果的に企業内の生産性が低下していた。
(研修の効果)
1つの訓練契約で幅広い層に訓練を行うことができ、個々の従業員にあった訓練を探す手間も省ける上に、複数の訓練を契約するよりも、安価な費用で抑えられた。結果的に企業全体の生産性向上に繋がった。
厚生労働省「人材開発支援助成金活用例」(https://www.mhlw.go.jp/ontent/11800000/001085515.pdf)より抜粋
このように、企業の課題や目標に見合う研修を選んで助成金を活用すれば、社員のスキルアップはもちろん、組織全体のモチベーション向上が期待できます。
助成金の採択率
人材開発支援助成金は、基本的に受給条件を満たせば給付されますので、採択率は100%と言っても良いでしょう(書類不備や要件を満たしていない、不正受給を除く)。
そもそも助成金は補助金と異なります。補助金は採択件数や金額があらかじめ決まっている場合が多く、倍率も低くないので受給できるかどうかは審査次第です。
そういう意味でも、社員の教育に助成金を申請しない手はありません。資金繰りに不安のある企業はなら尚更です。
助成金を受給するまでのスケジュール
それでは実際に、人材開発支援助成金を受給するまでのスケジュールを見てみましょう。ここではWinスクールに研修を依頼いただいた場合を例にご紹介します。

助成金を受給するためには、各ステップで申請期限があります。そのため、利用申請から研修の実施、受給申請という一連の流れをきちんと確認し、計画的に進めることが重要です。企業の担当者は積極的に情報を集め、準備に万全を尽くしましょう。
助成金活用でよくある3つの質問
人材開発支援助成金を活用するにあたって、よくある3つの質問をまとめました。
Q1:この訓練を受ければ必ず助成対象になると、厚生労働省が認めている訓練はありますか?
A1:そのような決まった訓練はありません。
業種や仕事の内容と訓練の関係、実際に行った訓練の内容、費用や賃金の支払い状況などをもとに、それぞれのケースごとに助成できるかどうかが判断されます。
Q2:新しい事業を始める予定で訓練を始めましたが、途中で会社の方針が変わり、事業を行わないことになりました。この場合でも助成金は申請できますか?
A2:もともと事業展開を目的とした訓練であれば、途中で事業をやめた場合でも助成の対象になります。
ただし、受講時間が全体の8割以上であることが条件です。事業中止にあわせて訓練も中止する場合は注意が必要です。
Q3:社内で研修を行い、外部講師を呼びました。席に余裕があったため、助成対象ではない社員も一緒に受講しました。この場合、助成額に影響はありますか?
A3:影響があります。助成の対象になるのは、対象となる社員が受講した分だけです。講師料や会場費などは、受講者全体に対する対象社員の割合で分けて計算し、その分だけが助成対象となります。
おわりに

人材開発支援助成金には企業だけでなく社員にもメリットがあります。
事実、社員に対しては、キャリアアップによる給与UPやモチベーションの向上が期待できます。そして企業は利益拡大やイノベーションにつながるので、Win-Winの制度であることは間違いありません。
Winスクールでは企業の現状や課題に合わせた研修のカスタマイズが可能です。そしてもちろん、各研修には今回ご紹介した助成金を利用できます。
助成金の申請マニュアルや社会保険労務士とタイアップした申請代行サービス(助成金アシスト+)も提供しておりますので、ぜひ一緒に社員の可能性を広げてDXをはじめとする企業の成長につなげていきましょう!
最後までお読みいただきありがとうございます。
この記事の情報元:厚生労働省ホームページ「人材開発支援助成金」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/d01-1.html

