

こんにちは! Shinobuです。
普段はグラフィックデザイナーや講師として、大阪を中心に活動をしています。
今回は、デザインシステムシリーズ、第2回目です。
前回から引き続き、こちらのカフェの店内注文画面を作っています。

みなさんはFigmaでデザインをしていて、こんなことを感じたことはありませんか?
- 「同じ色を何度も手打ちしている気がする…」
- 「パーツごとに文字サイズがバラバラになっちゃった」
- 「余白の指定がなんだか場当たり的…」
これらは、デザインにルールがないことで起きがちなプチストレスです。
そんなときに役立つのが、「デザイントークン」という考え方。
色や文字、余白などの見た目に関するルールをあらかじめ定義しておくことで、作業の効率がぐんと上がり、チームでも共有しやすくなります。
この第2回目の記事では、色・文字・余白の3つを中心に、実際にFigmaで「トークン」を設計しながら学んでいきます。
といっても、難しいコードや理論はナシ。
第1回目で作った「カフェのUIデザイン」をベースに、Figmaのスタイル機能を活用して、手を動かしながらルールを整えていく体験をしてみましょう。
第1回目の記事をまだ読んでいない方は、そちらを読んでから第2回目の記事を読み進めてくださいね!
目次
デザイントークンをおさらい
「デザイントークン」とは、色・文字サイズ・余白などの視覚的な要素に名前をつけてルール化するための仕組みのことです。
例をあげると…
- color/text/base → 通常の本文に使う文字色
- font/heading/lg → 大見出しに使うフォントサイズとウェイト
- spacing/md → よく使う16pxの余白
このように、あいまいになりがちな見た目のルールをあらかじめ整理しておくことで、
- 一貫性のあるデザインができる
- 再利用性の高いパーツが作れる
- 将来的に画面やパターンが増えても整理・変更しやすい
というメリットがあります。
それではまずは、色から整えていきましょう!
カラートークンをつくる
Figmaのカラースタイル機能を使って、デザインで使う色をトークンとして整理していきます。
最終的には後述の「バリアブル」で管理できるようにしますが、まずはカラースタイルとして登録していきましょう。
今回のカラースタイル一覧
カラースタイル名 | カラースタイル名 | カラースタイル名 |
---|---|---|
background/base | #F3EFE5 | 画面全体の背景色 |
background/card | #FFFFFF | カードの背景色 |
button/primary | #5E6135 | 主役のボタン色 |
button/accent | #FF3030 | アクセントのボタン色 |
button/secondary | #B6D3A2 | セカンダリーボタン色 |
text/primary | #5E6135 | 主なテキスト色(ボタン内文字など) |
text/on-primary | #FFFFFF | ボタン上の文字色(主にprimaryボタン内) |
色をスタイル登録する
Figmaで色を登録する際は、「スタイル」に名前をつけて保存しておくと、あとから管理しやすくなります。
色のサンプルとスタイル名を「Master」フレームに並べてから、1つずつ色スタイルとして登録していきましょう。
※同じ色コード(#FFFFFFや#5E6135など)でも、使われる場所によって別名で登録しておくと、用途に応じて変更しやすくなります。
BaseとPrimaryの修正
まずは前回の第1回目で登録した「Base」と「Primary」を、今回の命名ルールに合わせて整理しておきましょう。 (1)前回登録していた「Base」の修正をします。
何も選択していないことを確認し、右側のデザインパネル>スタイル>色スタイル の、「Base」にカーソルを合わせます。
右側に「スタイルを編集」アイコンが表示されるので、アイコンをクリックしましょう。

(2)名前を「background/base」に変更します。確定は、【Enterキー】でOKです。
すると、「Backgroud」>「Base」というような階層で表示されます。

(3)同じようにして、「Primary」を「button/primary」で登録しなおしましょう。

命名ルールのポイント
- / (スラッシュ)を使ってカテゴリ分けすると、Figma上でフォルダ階層として整理される
- 名前から「何に使う色か」がわかるようにする
- チームで共有したときに、探しやすく・使いやすくなる
全ての色の登録
では次に、全ての色の登録を行いましょう。
第1回目に行ったように、まずは「Master」フレームに色とカラースタイル名をレイアウトしてからカラースタイル登録をしましょう。
表内の作業が終わると、「Master」フレームとカラースタイルはこのようになっているはずです。

小規模なシステムだとここまででも十分なのですが、今回はさらにステップアップして、バリアブルを使って登録していきます。
バリアブルの設定
Figmaには「カラースタイル」と「バリアブル」という2つのしくみがあります。
ここまでやってきた操作は、「カラースタイル」です。
どちらも「色を登録して使い回す」ためのものですが、少し役割が違います。
カラースタイルとは?
「この色は見出しに使う色です」といった感じで、見た目のルールを決めて共有するための機能です。
- スタイルガイドとして色を管理できる
- パネルでまとまりが見えるので整理しやすい
- チームでも共通の色を使いやすい
バリアブルとは?
バリアブルは、特定の色や数値に「名前をつけておいて使い回す」しくみです。
※「変数」に近い考え方ですが、ここではむずかしい話はしません。
- 名前をつけて色や数値を登録できる
- あとからその名前の内容を変えると、すべてのデザインに一気に反映される
- ライトモード/ダークモードを切り替えることもできる
たとえば「button/Primary というバリアブルに #FF0000を登録」しておくと、
「ボタンの色を変えたい!」というときに、その名前の色を変えるだけで全部のボタンが変わります。
どう使い分けるの?
- カラースタイル:見た目のルールを整理・共有したいときに使う
- バリアブル:色や数値の「意味」や「用途」でまとめて管理したいときに使う
どちらか一方ではなく、両方を組み合わせて使うと、チームでもプロジェクトでももっと効率的になります!
バリアブルに色を登録する
コレクションの作成 (1)何も選択していないことを確認し、右側のデザインパネル>バリアブルの右側「バリアブルを開く」アイコンをクリックしましょう。

(2)「このコレクションにはバリアブルがありません」と出るので、「+作成」ボタンをクリックし、出てきたリストから「色」を選択します。

(3)左上の「サイドバーを切り替える」アイコンをクリックし、サイドバーを表示します。

(4)表示されたサイドバーのオプションから、「名前を変更」をします。「コレクション1」を「ThemeColor」にしてください。
※「Theme Color」のように単語の間にスペースを入れると、うまく機能しないことがあります。必ず続けて書いてくださいね。

色を登録する
カラートークン一覧
※下の表は先ほどと同じ内容ですが、バリアブル用に登録しなおします。
カラースタイル名 | カラースタイル名 | カラースタイル名 |
---|---|---|
background/base | #F3EFE5 | 画面全体の背景色 |
background/card | #FFFFFF | カードの背景色 |
button/primary | #5E6135 | 主役のボタン色 |
button/accent | #FF3030 | アクセントのボタン色 |
button/secondary | #B6D3A2 | セカンダリーボタン色 |
text/primary | #5E6135 | 主なテキスト色(ボタン内文字など) |
text/on-primary | #FFFFFF | ボタン上の文字色(主にprimaryボタン内) |
命名ルールのポイント
- 系統ごとに / で区切る(例:color/background/base)
(1)「色」をダブルクリックし、「color/background/base」に変更します。

(2)「FFFFFF」のサムネイル部分をクリックし、ベースカラーである「#F3EFE5」に変更します。
※面倒に感じるかもしれませんが、「カラースタイルで登録した色」は、そのままではバリアブルには出てこないんです。両者は別々に管理されているので、それぞれに登録が必要となります!

(3)カラートークン一覧を確認しながら、全てのトークンを登録していきましょう!
一番上の画面全体の背景色は登録しましたから、2番目のカードの背景色から登録しましょうね。
「+バリアブルを作成」>「色」をクリックして登録します。

全てを登録し終わったら、このようになります。
バリアブルボックスの「×」を押して、閉じておきましょう。

テキストトークンをつくる
次は、文字まわりです。見出しと本文、それぞれに合ったテキストトークンを作っていきましょう。
UIにおけるテキスト設計の基本
- 見出し:サイズ大きめ・太め・間隔は少し広め
- 本文:小さめ・行間ゆったり・読みやすさ重視
- 補足や注釈:小さいけど行間はたっぷり、色も少し薄めが多い
これらを毎回手打ちしていると事故の元。ちゃんとテキストトークン名をつけて登録していきます。
ではまずは、テキストスタイルから登録していきます!
今回のテキストスタイル一覧
スタイル名 | フォント | サイズ | ウェイト | 用途 |
---|---|---|---|---|
Body/Regular | Noto Sans JP | 14 | Regular | 本文用 |
Price/Number | Noto Sans JP | 24 | Bold | 値段の数字 |
Price/Unit | Noto Sans JP | 16 | Bold | 円マーク |
Button/Primary | Noto Sans JP | 16 | Bold | レジに進むボタン |
Caption/Bold | Noto Sans JP | 12 | Bold | カート内の商品数バッジ |
文字をスタイル登録する
(1)「Master」フレームに、「本文用」と文字を入力し、フォントファミリーを「Noto Sans JP」、ウェイトを「Regular」、フォントサイズを「14px」にします。
(2)テキストパネル>タイポグラフィ の右側、4つの丸アイコン(スタイルを適用)をクリックします。
さらに、「+」マークをクリックし、名前を「Body/Regular」と登録します。
最後に「スタイルの作成」ボタンを押せば、スタイル登録が完了します。

(3)今回のテキストスタイル一覧を見ながら、「本文用」以降も登録してみましょう。
全て登録すると、以下のようになります。

コレクションの作成
スタイル登録が終われば、バリアブルの登録です。
(1)何も選択していないことを確認し、右側のデザインパネル>バリアブルの右側「バリアブルを開く」アイコンをクリックしましょう。
(2)サイドバーのオプションから、「コレクションを作成」をクリックします。
名前を「Typography」にします。

文字を登録する
先ほど登録したカラーと違って、テキストは「フォントの種類」「フォントの太さ」「フォントのサイズ」など、各プロパティごとにバラバラで登録する必要があります。
ところが、実は「font-family」や「font-weight」にバリアブルを使っても、Figmaではテキストの見た目(フォント)は切り替わりません。
あくまで「Noto Sans JP」という文字列を登録するだけなので、フォントの見た目が変わることはないのです。
じゃあ、なぜバリアブルを登録するのか?
- フォントのルールを明示的に残せる
- チーム内で「本文やボタンはこのフォントだよ」と共有しやすい
- デザインシステムとして、整った構造で管理できる
つまり、実際の見た目を変えることに使うためというよりは「ルールを残すため」に登録するんだよ、と覚えておいてください!
フォントの設定は、テキストスタイルから行うってことです。
テキストトークン一覧
font-family
トークン名 | フォント名 | 用途 |
---|---|---|
font-family/base | Noto Sans JP | 本文・ボタン・キャプションなど共通 |
font-weight
トークン名 | ウェイト名 | 用途 |
---|---|---|
font-weight/regular | Regular | 本文・商品名・追加ボタン用 |
font-weight/bold | Bold | 値段・円マーク・ボタン・キャプション用 |
font-size
トークン名 | サイズ(px) | 用途 |
---|---|---|
font-size/body | 14 | 本文・商品名・追加ボタン用 |
font-size/price-number | 24 | 値段の数字用 |
font-size/price-unit | 16 | 円マーク用 |
font-size/button-primary | 16 | レジに進むボタン用 |
font-size/caption | 12 | カート内の商品数バッジ用 |
(1)「+作成」ボタンをクリックし、出てきたリストから「文字列」を選択します。

(2)「文字列」に「font-family/base」、「文字列値」に「Noto Sans JP」と入力します。
以下の図のように登録されるはずです。

(3)テキストトークン一覧を確認しながら、「font-weight」と「font-size」の全てのトークンを登録していきましょう!
「+バリアブルを作成」>「文字列」をクリックして登録します。
全てを登録し終わったら、このようになります。
バリアブルボックスの「×」を押して、閉じておきましょう。

余白トークンについて
デザインにおいて「余白(スペーシング)」はとても大事な要素。詰まりすぎていたり、逆にスカスカだったりすると、見た目が不安定になってしまいます。
そこで役立つのが「余白のルール化」です。
特によく使われているのが「8の倍数」で設計する方法です。
8px・16px・24px・40px…というようにサイズをそろえることで、画面の中に一貫性が生まれ、整った印象になります。
スペーシングトークン一覧
トークン名 | サイズ(px) |
---|---|
spacing/s | 8 |
spacing/ms | 12 |
spacing/md | 16 |
spacing/lg | 24 |
spacing/x | 40 |
ここで色や文字と同じように、余白もスタイルとして登録したいところなのですが、実はFigmaでは色や文字のようにスペーシングのスタイル登録はできません。
そのため、余白のサイズはスタイルではなく、コンポーネント(第3回目の記事のテーマです!)の中にルールとして落とし込んでいくことになります。 今回は余白については確認、というところまでにしておいて、登録作業については次回に持ち越したいと思います!
おわりに
今回の記事では、色・文字・余白の3つの観点から、デザインにルールを与える「デザイントークン設計」を体験しました。
これらをFigmaの中で実践することで、画面全体がぐっと整い、視覚的な一貫性と操作のしやすさが手に入ります。
そしてここからが、いよいよ本番。 次回・第3回目では、実際に作ったトークンを活用して、「注文ボタン」や「商品カード」といったUIパーツを再利用しやすいコンポーネントとして設計していきます。ぜひお楽しみに!