
マツダ株式会社 : パワーエレクトロニクス技術者育成研修
今回、マツダ株式会社様において、既存のエンジニアを対象としたパワーエレクトロニクス分野へのリスキリング研修を実施しました。本取り組みは、マツダ様と弊社、テクノプロ・デザイン社の三社協力体制によって実現したものです。今回、マツダ様へのインタビューは初めてとなり、研修導入の背景や狙いについて伺いました。

人材育成の背景
Q:今回の研修ですが、どのような経緯で研修を企画することになったのかをお聞かせください。
電気駆動システム開発部
野田 部長

自動車業界は100年に一度の大変革期にあり、その一つが車の電動化です。弊社は2030年までを「電動化の黎明期」と捉え、2030経営方針のもと、多様化するお客様ニーズや環境規制に柔軟に対応すべくマルチソリューションで電動化を進めます。これを遅滞なく進め、お客様に高付加価値の車を提供し続けるには、これまでの開発を通して車を熟知するエンジニアが電動化の知識・技術も手の内に収めるリスキリングが重要と考えています。
これは一朝一夕ではできません。電動化技術のスペシャリストとのOJTを通して電動化エンジニアとして飛躍する必要があります。そのために必要な知識・スキルを早期に習得する機会を提供し、電動化エンジニアへの道を開く、そのような教育・研修が求められています。
人材育成への取り組み
Q:御社の人材育成に関するこれまでの取り組みや、考え方、今後の展望などをお聞かせください。
開発管理部R&D人材開発グループ
横山 マネージャー

100年に一度の変革期と言われるように、企業の在り方、組織の在り方、個人の在り方が目まぐるしく変化している中で、求められる能力の育成を弊社内の人材やカリキュラムで対応するのは困難な状況です。
そのため、社外の各分野において強みを持つ企業様、大学様、行政機関様のご支援を賜りつつ、人材育成を実施しております。教育を実施し、スピード感をもって組織運営・開発の成果につなげていくことが今後も継続して求められます。したがって、社外の方々との連携による人材育成の重要性はますます増していくと考えております。
弊社研修を選んでいただいた理由
Q:数ある法人研修サービス企業の中から弊社の研修を採用していただいた理由は何でしょうか?
電気駆動システム開発部
藤岡 アシスタントマネージャー

非電気系エンジニアを主要な受講対象と想定し、電動化に必要な技術知識の習得を入門、基礎、初級レベル毎に段階的に進めたいという弊社要望がありました。それに対し御社からのご提案は、e-learning、オンライン講座、実習講座というレベルに応じた研修形態で、弊社が望む内容をカバーできると感じました。実際、少人数でトライアル受講を行い、期待通りであることを確認しました。また、弊社の受講対象者に応じて内容を調整いただけることから、御社の研修を選ばせていただきました。
ご提案内容
今回ご提案させていただいたのは、パワーエレクトロニクス分野の人材育成を目的とした総合的な教育プログラムです。基礎知識習得に向けたe-Learning講座の提供に加え、直流回路演習やブラシレスDCモータ制御技術に関する講座、さらには実習を通じた実践的なスキル強化まで、段階的に学びを深める内容を設計しました。各講座では、受講進捗・アンケートの収集・分析を行い、受講状況を可視化。これにより、個々の習熟度把握と今後の育成施策立案にもつながる仕組みをご提案しました。

研修の詳細
研修科目 | パワーエレクトロニクス技術者育成研修 |
---|---|
日数 | 10日間 |
規模(人数) | 145名(15~30名クラスを複数回実施) |
実施形態 | 自社研修室にて集合型研修(一部e-learningを併用) |
対象者のレベル感 | これから電気電子系の知識・技術を身につけていかれる方 |
研修カリキュラム
パワーエレクトロニクス技術者育成研修
カリキュラム | 詳細 |
---|---|
パワーエレクトロニクス 入門 (e-learning) | (1)パワーエレクトロニクス(概論) (2)パワーエレクトロニクス基礎(4講座) (3)EMC規制とノイズ対策入門 |
パワーエレクトロニクス 講義編 | ブラシレスDCモータのインバータ制御技術 ①ブラシレスDCモータの動作原理 ②ブラシレスDCモータのインバータ制御技術 ③ブラシレスDCモータのベクトル制御 |
パワーエレクトロニクス 実習編 | ブラシレスDCモータのインバータ制御技術 学習用電子基板とブラシレスDCモータを使った実機実習(オシロスコープ使用) |
研修の効果
Q:研修管理者様視点で、今回の研修で当初の目的は達成出来ましたでしょうか?
開発管理部R&D人材開発グループ
佐藤 様

目標は達成できたと思います。今回の研修は、多くの受講者にとって期待通りの内容であり、現在の業務に活かせる知識・スキルを提供できたと感じています。特に実機演習については、教育内容の理解を深める重要な要素として認識されています。短期間で基礎的なPWMの理解ができたことに対するコメントや、電動駆動領域での開発要件やテスト項目、手順等の講習をさらに希望する意見もあり、今後の研修のアップデートにも期待したいと思います。
Q:実業務への効果はありましたか?
はい、企画段階から狙いとしていた効果はあったと考えています。
前年の受講者に対し、1年後の現在、業務への活用に関するアンケートを行いました。その結果、電動化開発に携わる多くの受講者から「業務に活かしている」との回答がありました。その中で「業務で、関連メンバー(電動化技術のスペシャリスト等)との打合せの中で、話の内容の理解の助けになっている」、「駆動モータ制御設計の業務において基本の知識として普段から活⽤している」等のコメントがありました。
受講者様の声
Q:受講者様に質問です。実際弊社の研修を受講してプラスになったことはありましたか?
電気駆動システム開発部
瀬戸 様

実際にモノを触りながら学ぶことで、設計担当者や実験担当者にかかわらず役立つスキルを身につけることができると思います。最近では多くのことがバーチャルで行われる時代ですが、エンジニアの基本はモノを触って学ぶことが重要だと再認識しました。特に、電動駆動の実機での実験は電圧・電流が高くて非常に危険ですが、実習では小型の装置を使うことで、仮説の検証を安全に行える点が有益でした。難易度もちょうど良く、教育内容も期待以上でした。多くの演習を通じて理解が深まり、エンジニアにとって非常に価値のある研修で、今後の業務に大いに役立つと確信しています。
企業概要
マツダ株式会社
マツダ株式会社は、広島県に本社を構える自動車メーカーです。1920年の創立以来、「走る歓び」を追求し続け、独自技術であるロータリーエンジンや、環境性能と走行性能を両立させた「SKYACTIV技術」など、革新的な取り組みを展開してきました。現在は、電動化やコネクティビティ技術の強化にも注力し、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを加速しています。世界各国で多くの支持を集め、グローバルブランドとして進化を続けています。

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