少子高齢化や熟練の技術者の引退、グローバル化による優秀な人材の流出など、日本企業の多くは慢性的な人手不足に悩まれていることは言うまでもありません。そのため、人材の獲得競争は年々激しさを増しており、企業が求める人材を確実に採用することが難しくなっています。
頼みの求人広告も「信頼性や情報量に欠け、競合に埋もれるリスクが高い」という理由から限界説がささやかれています。
そこで注目を集めているのが採用サイトです。企業のブランディングを強化し、求職者と直接つながる場となる採用サイトは、求人広告よりも効果的と言えます。
この記事では、求職者の行動フローを意識した彼(彼女)らの目に留まる採用サイトのつくり方を解説します。採用活動における最大の効果を発揮する方法を具体的に探りましょう。
目次
求職者の目に留まる採用サイトとは?
求職者の目に留まる採用サイトとは、一体どのようなサイトのことを言うのでしょうか。具体的な特徴をご紹介します。
求職者の目に留まる採用サイトの特徴
採用サイトは、企業の顔とも言える重要な存在です。単なる求人情報ではなく、求職者に企業の価値や魅力を伝える強力なブランディングツールとして機能します。そうしたことから、以下の要素を盛り込むことで、求職者が行動を促す採用サイトを作成できます。
見やすいデザイン
ユーザーが一目で必要な情報にアクセスできるシンプルで直感的なデザインが重要です。派手すぎる色や過剰な装飾は避け、清潔感とプロフェッショナルな感じが伝わるデザインを心がけましょう。
スマホ対応(モバイルフレンドリー)
今や日本人の大半がスマートフォンを利用しています。そのため、モバイルフレンドリーはどのWebサイトでも当たり前となりました。
もし採用サイトがスマートフォンで快適に閲覧できるように設計されていない場合、せっかくの訪問者を逃す結果につながります。レスポンシブデザインにより、あらゆるデバイスでスムーズに操作できるような対応は不可欠です。
充実したコンテンツ
求職者が最も知りたい情報を適切に伝えることが、採用サイトの核心です。
- 仕事内容
- キャリアパス
- 職場の雰囲気
- 福利厚生
・・・など、企業が提供できる魅力を具体的に掲載しましょう。社員インタビューや職場の写真を使用することで、より信頼性の高い情報を提供できます。
応募フローの簡潔さ
応募フォームが複雑すぎると、求職者の中には途中で離脱する方が出てきます。そのため、入力項目は必要最低限にし、ストレスなく応募できる設計が重要です。
採用サイト構築の具体的な3ステップ
採用サイトの目的は、求職者に「この会社で働きたい!」と思わせることです。そのためには、求職者の視点を徹底的に考慮した設計が欠かせません。
そのため、次の3つのステップを一つずつ実行し、魅力的で成果につながる採用サイトを作り上げましょう。
1.ターゲット設定
採用サイトは、求職者のペルソナ設定が人材獲得を成功させる重要ポイントです。
求める人材像を明確にし、彼(彼女)らが
・どのような情報を必要としているのか?
・どのような価値観に共感するのか?
を深く理解しましょう。
新卒採用であれば「成長の機会」や「キャリアの第一歩」を重視した内容、中途採用であれば「スキルアップ」や「キャリアチェンジ」のメリットをアピールするなど、求職者の視点に立ったコンテンツがカギを握ります。
2.コンテンツ設計
サイトに掲載する情報は、求職者が意思決定を行うための基盤となります。仕事内容や募集要項だけでなく、以下のような情報を充実させると効果的です。
社員の声:現場のリアルな意見をインタビュー形式で紹介。
キャリアパスの明示:入社後の成長プランや将来の役職イメージ。
職場の写真や動画:職場環境を視覚的に伝えることで、具体的なイメージを提供。
3.デザインと開発、運用上の改善まで
デザインは見た目だけでなく、機能性も重視する必要があります。求職者が直感的に操作できて、情報がスムーズに見つかる設計が理想です。
ナビゲーションメニューをわかりやすく配置し、重要な情報には、簡単にアクセスできるよう工夫しましょう。
また、サイトは公開したら終わりではありません。定期的にアクセスデータを分析し、求職者がどのページで離脱しているのか、どのコンテンツが最も閲覧されているのかを把握しましょう。
そしてその結果からPDCAサイクルを回し、常に最適化を図ることが、採用活動の成功につながります。
求職者の行動フローを意識しよう
前項でお伝えした3つのステップをサイトに忠実に反映させるには、求職者の行動フローを理解することが大切です。ここでは求職者の心理や行動パターンについて解説します。
求職者の心理プロセスと提供すべき情報
求職者が応募を決断するまでには、次のような心理的プロセスをたどるのが一般的です。
認知(知る):求人広告やSNS、口コミなどで求職者が企業の存在を知る段階です。
求職者に「どんな会社なのか」や「どんなポジションがあるのか」を、短いキャッチコピーや印象的なビジュアルを使用して簡潔かつ魅力的に伝えましょう。
興味(興味を持つ):求職者が企業の詳細を調べ始める段階です。
採用サイトでは企業文化や社員の声、働く環境をリアルに伝えるコンテンツが求められます。たとえば、職場の雰囲気や業務内容を伝える動画、社員のインタビュー記事などを掲載して求職者の不安を軽減しましょう。
比較(検討する):他社と比較しながら、自分に合う企業かどうかを検討する段階です。
FAQや他社との違いをアピールするなど、差別化が求められます。とりわけ福利厚生や研修制度、キャリア支援などについて、数字や事例を交えた具体的なアピールが効果的です。
行動(応募する):最終的に応募するかどうか決断する段階です。
応募までの導線をシンプルにし、ボタンやフォームの配置を工夫。たとえば、「応募する」や「問い合わせ」のボタンを目立つ位置に配置することで行動を促進します。
商品やサービスの販売サイトでお客様の行動フローを意識するのと同じように、求職者の心理や行動に寄り添う戦略こそ、企業の求める人材が集まりやすい採用サイトとして認められます。
各段階で必要な情報を提供しつつ、優れたUXデザインと魅力的なコンテンツを組み合わせることで、採用活動をより効果的に進めましょう。
採用サイト導入にあたっての課題とその解決策
採用サイトの導入には多くのメリットがありますが、実際に「何から始めればいいかわからない」や「社内で制作できる社員がいない」といった課題を抱える企業も多いのが現実です。各課題を乗り越える方法を探ります。
採用サイト導入の課題
採用サイトの構築にあたって、企業が直面しやすい課題をまとめました。
社内のリソース不足:とりわけ中小企業では、大企業に比べて予算や人員が限られていることもあり、専任の担当者を割くのは厳しい。
専門知識の欠如:専任となる人員を確保できたとしても、その担当者にWeb制作や運用に関するノウハウがない。
時間的な制約:既存の業務と並行して進めるため、制作にあたっては計画通りにいかない可能性が高い。
コストの懸念:初期投資や運用コストの負担が大きく、利益の圧迫や融資の審査も不安。
内製化か外注か
採用サイトの導入にあたっては「内製化」と「外注」の2つの選択肢があります。それぞれのメリット・デメリットを理解し、自社に合った方法を選ぶことが大切です。
内製化のメリット・デメリット
メリット:長期的なコスト削減が可能。運用の変更や急な修正にも柔軟に対応できる。
デメリット:Web制作やコンテンツマーケティングの知識が必須。初期段階での学習コストがかかる。
外注のメリット・デメリット
メリット:短期間でプロフェッショナルな仕上がり感が得られる。デザインや技術面の心配は不要。
デメリット:初期投資が大きいため予算の確保が必要。依頼先とのコミュニケーションも時間がかかる。
社内リソースの不足を補うには
リソース不足を補うには、以下のような方法が有効です。
部分的な外注:デザインや開発などの専門性が求められる部分だけを外部に依頼し、コンテンツ作成や運用は社内で行う。
スモールスタート:最初から完璧を目指すのではなく、基本的な情報のみを掲載した簡易的なサイトから始め、後から拡充していく。
外部ツールの活用:ノーコードのテンプレートやCMS(コンテンツ管理システム)を活用すれば、専門知識がなくても短期間でサイトを構築できます。
継続的な運用と改善
繰り返しになりますが、採用サイトは一度作ったら終わりではなく、運用を通じて改善を続けることが重要です。
アクセス解析:求職者がどのページを見ているかを把握し、効果の低い部分を改善。
定期的な更新:月に一度など、定期的に新しい情報をアップしてサイトの鮮度を保つ。
求職者の声を反映:応募時のアンケートや問い合わせ内容を元に、より良いサイトを目指す。
採用サイトの導入には一定のハードルがあることは否めません。ただそれでも、スモールスタートや外部リソースの活用により、効率的かつ効果的に進めることが可能です。
まずは小さな一歩から始め、継続的に改善を図ることで、理想的な採用サイトを実現しましょう。
まとめ〜求職者と企業をつなぐ採用サイトの実現
採用サイトは、求人広告の限界を乗り越え、求職者と企業を直接つなぐ重要なツールです。また、求職者の心理プロセスを理解し、それに沿った情報や体験を提供することで、応募率を高めることができます。
企業の魅力を最大限に伝えるためにも採用サイトを構築し、求職者とのつながりを深めていきましょう。
ちなみに、内製化によって採用サイトを構築する場合、社員のスキルアップは欠かせません。WinスクールではデザインやWeb制作に必要なツールの操作スキルが身につく講座をご用意しています。
実務経験が豊富な専門講師から学べる講座はこちら
WebデザインやWebプログラミングの基礎から
現場で活躍できる実践スキルまで備えた人材を育成