
「研修は無事に終わったけれど、効果があったのか説明できない」。新入社員研修の後、こう感じる担当者の方は少なくありません。原因の多くは、評価の方法を研修が終わってから考えていることにあります。
結論として、効果測定は研修の設計と同時に決めます。この記事では、研修の評価を整理する4段階の考え方、IT研修でできる具体的な測定方法、前年の研修を見直すチェックリストを紹介します。
目次
研修の効果は「出ている」と感じている企業が多いが…
HR総研の調査(2019年)では、新入社員研修の効果が「出ている」と回答した企業は65%でした(「まあまあ出ている」58%+「大変出ている」7%)。一方で、「どちらとも言えない」も約29%ありました。
これは企業の主観的な回答です。「出ている気がする」を、上司や経営層に説明できる形にするには、測定の仕組みが必要です。
(出典:HR総研「人材育成(階層別研修)に関するアンケート調査」、実施2019年8月、有効回答164件)
研修の評価は4段階で考える
研修評価でよく使われるのが、カークパトリックの4段階モデルです。IT研修では、次のように当てはめられます。
| 段階 | 見るもの | IT研修での測り方の例 | タイミング |
|---|---|---|---|
| 1. 反応 | 受講者の満足度・理解感 | アンケート(難易度、進む速さ、役立ち感) | 単元終了時・最終日 |
| 2. 学習 | 知識・スキルの習得 | スキルチェック、課題の完成度 | 研修前・各単元・最終日 |
| 3. 行動 | 現場での使い方 | 配属先リーダー・OJT担当へのヒアリング、コードレビュー | 配属後1〜3か月 |
| 4. 成果 | 事業への影響 | 立ち上がり期間、リリースまでの日数、早期離職の有無 | 半年〜1年 |
新卒のケースでは、まず「学習」を確実に測り、次に「行動」を配属先に聞くと、現実的に始めやすくなります。「成果」は研修以外の要因も混ざるため、直接の因果で説明しすぎないことも大切です。
研修効果を測定する3つの方法
1. 研修前・研修中・研修後のスキルチェック
同じ基準で、研修前、各単元の終了時、最終日にチェックする方法です。個人ごとの「伸び」が数字で説明できるため、前年比較もしやすくなります。Winスクールの法人研修でも、研修開始前・各単元修了時・最終日に独自のスキルチェックテストを実施し、レポートで成長を見える化しています。
2. 成果物とプロセスの確認
テストだけでは、「手を動かせるか」は見えません。ミニアプリや演習課題の成果物を、完成度・エラーへの対処・質問の仕方などの観点で確認します。
3. 配属後のヒアリング
配属後1か月・3か月のタイミングで、配属先リーダーを含めて「任せられる作業」「つまずいている点」を聞きます。ヒアリング項目をあらかじめ統一しておくと、比較しやすくなります。
研修の振り返りの進め方
研修の振り返りは、「受講者」と「運営側」の2方向で行います。
- 受講者の振り返り:「できるようになったこと」「まだ不安なこと」「配属後に試したいこと」の3点で書く。最終日に書いた内容を、配属先とも共有する。
- 運営側の振り返り:スケジュール、難易度、講師・教材、レベル差への対応を、事実ベースで書き出す。
前年の新入社員研修を見直すチェックリスト
来年度の計画を立てる前に、次の項目を確認してみてください。
- 研修の目的と到達目標が、文章で残っている
- 研修前のスキルを把握していた
- 各単元に、理解度を確かめる方法があった
- 受講者アンケートの結果を、次の研修に反映した
- 経験者と未経験者のレベル差に対応できた
- 研修の結果を、配属先に引き継いだ
- 配属後1〜3か月の様子を、人事が把握している
- 「去年と比べてどうだったか」を、数字で説明できる
チェックがつかない項目は、次の研修で改善する優先候補です。
評価結果を配属とOJTにつなげる
評価は、やって終わりにしないことが大切です。スキルチェックの結果は、「強み」「つまずきやすい点」を配属先とOJT担当に共有すると、最初の任せ方を決めやすくなります。共有のしかたは、関連記事「OJT計画の作り方」で解説します。
なお、評価結果をすぐに人事評価へ直結させると、受講者が「点数を取ること」を優先してしまうことがあります。研修前に、評価の目的を「学習の支援」と伝えておくと安心して取り組めます。
まとめ
- 新入社員IT研修の効果測定は、「反応・学習・行動・成果」の4段階で設計し、まずは学習(スキルチェック)と行動(配属先ヒアリング)から始めるのが現実的です。
- 結果は、次の研修と配属後のOJTにつなげて初めて意味を持ちます。
関連記事:「新入社員IT研修の内容・カリキュラム・スケジュール設計」「OJT計画の作り方」
Winスクールの法人研修では、スキルチェックテストとレポートで受講者の成長を見える化し、研修後の配属やOJTにもつなげやすい形でお戻しします。「前年の研修を見直したい」という相談も、新入社員研修ページからどうぞ。

