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デザインの現場に密着!
Winスクールパンフレットが
できるまでを公開
~ Part7. 印刷の流れ ~

投稿日
2020.06.01
更新日
2023.05.23
デザインの現場に密着! Winスクールパンフレットができるまでを公開~ Part7. 印刷の流れ ~

第6回で、ようやくデザイン・入稿データの制作が完了し、色校正のステップへ進むことができました。

パソコンのモニターでは、「光の三原則」であるRGB(レッド・グリーン・ブルー)の発光で色を表現します。一方、印刷物は「色の三原則」であるCMYK(シアン・マゼンタ・イエロー・ブラック)のインクを用いて色を表現しています。
そのためモニターでの見え方と、実際の印刷では色の再現に差異がでてしまいます。
そこで印刷用の入稿データが出来上がると、いきなり本番の印刷を行うのではなく、「色校正」を行い、狙い通りの色がきちんと出ているかのチェックを行います。

グラフィックデザイナー紹介

株式会社MARL デザイナーの前田さん

最終回では印刷の流れから、クライアントへの印刷物納品までの流れを株式会社MARLのデザイナー前田が解説させていただきます。

色校正とは

現場では一般的に「色校(いろこう)」と言い、印刷物の用途やコストに応じて、下記の3つの方法を使い分けます。

1.本機校正(ほんきこうせい)
実際に印刷する用紙と同じものを用い、印刷機で出力を行います。

2.本紙校正(ほんしこうせい)
本機校正と同じく実際の用紙を使用しますが、本機校正とは違い、色校正用の印刷機で出力を行います。

3. 簡易色校正(かんいいろこうせい)
コンセ、プルーフとも呼び、簡易色校正用の印刷機と用紙を使用した校正です。

まず本機校正は、実際の印刷物を1部だけ刷るというものになるため、納品物と同じものとして確認することができます。100%に近い再現性となるため、美術作品集、化粧品パンフレット、自動車など高級製品のカタログといったシビアな色校が必要な際に選択します。実際の印刷工程を踏んでいくため、最もコストがかかる色校正となります。

また本紙校正は、本機校正ほどの色の再現性はありませんが、実際の用紙を使用するため、紙の質感などのチェックを行う際に有効です。若干、色味が濃く仕上がる傾向にあると言われていますが、コストとのバランスが良く、多くの場面で選択される色校正となります。

簡易色校正は、用紙・印刷機ともに校正用のものを使用するため、色の再現性は上記に比べ落ちますが、安価に印刷物の最終チェックができるため、それほど色にこだわらない印刷物には最適です。

このように色の再現性が異なる色校正を、必要性に応じて使い分けます。今回のパンフレットでは、2番目の本紙校正を選択しました。

色校正とは

本紙校正はデータ入稿から1〜3日で刷り上がり、写真や使用しているカラーが狙い通りに再現できているかをチェック。人物写真の肌に赤みや青みがかかっていれば、Photoshopを用い、色の調整を行います。また誌面全体のカラーバランスを確認していきます。
さらに、色校の本来の趣旨ではありませんが、文字に間違いがないかといった「校閲」や、Illustrator・InDesignなどレイアウトソフトの操作ミスによる不具合がないかなど、最終のチェックとその修正作業を慎重に行います。
これらが一通り完了すると、再度データを印刷会社に入稿し、デザイナーにとって最も緊張する本印刷へと進んでいきます。

印刷の種類

パンフレットの印刷方法は様々ありますが、大きく分けると「オフセット印刷」「オンデマンド印刷」があります。
オフセット印刷は最もポピュラーな印刷方法で、刷版(さっぱん)と言われる版を用いた、DTPが誕生する以前からある印刷方法となります。
また、オンデマンド印刷はパソコンで作成したデータをダイレクトに印刷することができるデジタル印刷機を使用します。
大量部数を印刷する場合はオフセット印刷、50部程度の少数印刷の場合はオンデマンド印刷がコスト面に優れています。今回は印刷部数が多いためオフセット印刷を選択します。

印刷の種類

入稿からおおよそ10日間で印刷は完了。仕上がった印刷物をチェックしていきます。ここでの印刷チェックは、色ムラやインクによる紙面の汚れがないか、印刷過程で不具合が生じていないかなど、刷り上がったものの中からランダムにチェックしていきます。
これらチェックが完了し、問題がないことを確認すると、ようやくクライアントに納品となります。

全7回でパンフレットの企画立案から撮影、デザイン、印刷、納品までを解説していきましたが、いががでしたでしょうか。
今回はパンフレットのリニューアルを題材に解説していきましたが、この流れは印刷物・Webサイトにかかわらず、制作物全般において共通した制作フローとなります。

案件を全体的にコントロールするディレクター、作るべきカタチを可視化していくアートディレクター、カメラマン・ライターが作成した原稿を効果的にレイアウトするデザイナー。制作に携わるすべてのスタッフが高い専門性を持ち、役割を果たしていくことで一冊のパンフレットが出来上がります。

このシリーズは制作の大まかな流れを把握してもらう目的で連載しましたが、今後、シリーズ内で取り上げた各工程ついて、もう少し詳しい情報や豆知識など、これからプロを目指す皆さんに役立つ情報を展開できれば思います。

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