毎年4月になると、多くの企業が実施する新入社員研修ですが、はじめて社会に出る新入社員は慣れない環境から緊張する場面が多いのではないでしょうか。一方、企業側は「早く社内の環境に慣れて人間関係の構築やビジネスの基本を習得してほしい」と思っているはずです。
そうした企業側と新入社員・新入社員どうしの信頼構築に有効なのがアイスブレイク。この記事では、とりわけZ世代向けの新入社員研修でおすすめのアイスブレイクを7つご紹介します。
目次
場の緊張がほぐれるアイスブレイクの重要性
アイスブレイクとは氷を溶かすという意味から、他人どうしが打ち解けやすい雰囲気をつくることで、グループやチームのコミュニケーション力を高めるアクティビティとしてよく使われています。
他者と打ち解けるメリット
他者と打ち解けるために活用されるアイスブレイクのメリットは、円滑なコミュニケーションを図ることの他なりません。とりわけ新入社員研修のように、初対面の人どうしが集まる場合は尚更ではないでしょうか。
これから一緒に働く人であっても、お互いをよく知らないゆえに緊張している状態では、会話や議論が進まないでしょう。そのため、気軽に言葉を交わせる場の雰囲気づくりは非常に大切です。
アイスブレイクには場の緊張をほぐし、相互理解を深める効果があると言えます。
Z世代とのコミュニケーションにアイスブレイクは欠かせない?
Z世代とのコミュニケーションにアイスブレイクは欠かせません。その理由はZ世代の特徴にあると言えます。
Z世代の特徴の一つに「他者との違いを明確にして自分らしさを求める」という価値観があります。これは裏を返せば、同調圧力や慣習を嫌がるということです。
つまり、一人ひとりの意見や気持ちを尊重しつつ、理にかなった目的や評価を伝えていく必要があります。しかし、相手が心に壁をつくっている状態では、円滑なコミュニケーションを図ることはできません。
だからこそ、アイスブレイクによって、彼(彼女)らが自己開示しやすい環境を整えることが必要不可欠なのです。
Z世代向けの新入社員研修で使えるアイスブレイク
一言でアイスブレイクといっても、Z世代向けの新入社員研修では、どのようなアイスブレイクが有効なのでしょうか。
企業側は新入社員に対して、即戦力として働いてほしいという思惑があります。そのため、単に場の緊張をほぐすだけではなく、これからビジネスの現場で活かせるものが理想です。
そこで今回は、
- 新入社員に気づきを与えるアイスブレイク
- 新入社員に一体感が生まれるアイスブレイク
- オンラインで有効なアイスブレイク
3つの目的別にさまざまなアイスブレイクをご紹介します。
新入社員に気づきを与えるアイスブレイク
これからご紹介する3つのアイスブレイクは、新入社員に対して自分の本心や他者の良いところなど、さまざまな気づきを与えるアクティビティです。
自己紹介ではなく他己紹介
初対面の人が集まる場ではよく自己紹介をする時間が設けられます。しかし、「何を話せばよいかわからない」とか「人前で自分のことを話すのが苦手」という人もいるでしょう。
そこでおすすめなのが、他己紹介です。他己紹介という言葉は造語ですが、文字通り、自分ではなく他者を紹介します。
他己紹介の進め方は、まず二人一組になってペアを組んだ相手に名前を伝え、質問を投げかけます。出身地や学生時代のこと、この会社を選んだ理由などを尋ねてみましょう。
二人だけの空間なら、全員の前で自己紹介するよりも緊張がほぐれるはずです。また会話をしていく中でお互いの共通点があれば、相手への理解が深まります。
お互いの自己紹介が終わったら、今度は全員の前でペアを組んだ相手を紹介します。
たとえば、「私がペアを組んだのは〇〇さんです。〇〇さんは大阪出身、とても明るくて話の面白い方です。学生時代はバスケットボールをされていて、全国大会に出場したことがあるそうです。この会社では仕事を通じて〇〇の技術を身につけたいとおっしゃっています。同期入社の自分も〇〇さんと同じ目標があるので、切磋琢磨していけたらいいなと思いました」
他己紹介は相手がどんな人物かを知らなければ、みんなに上手く伝えることができません。またそのためには、質問力と相手の良いところを探そうとする加点思考が求められますが、そういった気づきを与えられるのが他己紹介の魅力です。
喜怒哀楽を共有するGood & New
Good & Newは24時間以内に起こった出来事の中で、良かったことや新しいことについて一人ずつ発表してもらいます。全員が平等に発言するので、他者が発言しているときに話をカットするのはNGです。
Good & Newはテーマが固定された自己紹介なので、必然的にポジティブな話題が多くなり、場の雰囲気が明るくなりやすいと言えます。また他者の発表内容と同じような経験をした場合は共感が生まれ、それが後の会話のきっかけとなり、コミュニケーションがとりやすくなることは言うまでもありません。
さらに、過去24時間を振り返ることで、忘れていたことや改善することなど、自分なりの気づきが得られるのも特徴です。
自分の本心に気づくヒーローインタビュー
ヒーローインタビューはプロ野球やサッカーの試合で活躍した選手にインタビューするように、ポジティブな質問を投げかけるアクティビティです。相手の良さを引き出すだけでなく、インタビューされた側が自分の本心に気づくメリットもあります。
新入社員研修での活用例としては、まず二人一組になってインタビューする側とされる側に分かれます。そしてインタビューする側は、もう一人に「どんなビジネスパーソンになりたいか」を尋ねてみましょう。
相手の理想像を聞いたら、その状態になったという仮定でインタビューします。
インタビュー例「〇〇さんは、御社の長年の目標であった〇〇の開発に成功し、〇〇社との契約に大きく貢献されました。〇〇の開発を成功させた理由は何だったのでしょうか?」
インタビューを受ける側は、きっと理想の状態までのプロセスを語ることでしょう。その話の中で、自分の気持ちやどのような行動をとれば良いかという気づきを得られるのが、ヒーローインタビューのメリットです。
新入社員は何もかもが初めての経験なので、より多くの気づきを与えて職務の遂行能力を向上させることが重要です。アイスブレイクはそのためのファーストステップと言えます。
新入社員に一体感が生まれるアイスブレイク
企業はその理念や目的を達成するために、社員に一致団結を求めがちです。そこで、新入社員の一体感を生むアイスブレイクを3つご紹介します。
他者視点が身につく十人十色ゲーム
十人十色ゲームは他者視点が身につき、周囲への気遣いができるようになるゲームです。ファシリテーターの進行に沿ってメンバーの趣味趣向を予想し、予想と回答のギャップを楽しみながら、メンバーどうしの親交を深めていきます。
十人十色ゲームの進め方は、まずグループを作り、その中で回答者を一人決めます。そしてファシリテーターが回答者に「好きな食べものは何ですか?」や「今まで行った中で最も感動した観光地はどこですか?」などの質問をします。
新入社員研修では講師がファシリテーターとなり、新入社員どうしでグループ分けすれば良いでしょう。ゲームなので、予想が当たった回数の多いチームを勝ちとします。
とてもシンプルなゲームですが、見た目の先入観を取り払い、相手の立場で物事を考える力が備わります。企業としては、社員一人ひとりが思いやりの心を持つようになるので、一体感が生まれると言えるでしょう。
チームワークが生まれるペーパータワーゲーム
ペーパータワーゲームは紙を折ったり、切ったりしてタワーを作り、その高さを競います。
このゲームの進め方は、まずチーム分けをして、各チームに同じ大きさ・枚数の紙を配ります。そして制限時間を決め、その時間内に一番高いタワーを作ったチームが勝ちです。
ハサミやカッターなど、紙以外に道具を使うのはNGです。ゲームのルールは極めてシンプルですが、紙を切るときのサイズや紙の折り方・タワーが崩れないように組み立てる慎重さ・時間管理などが必要なので、社会人としての基礎的な能力が身につきます。
また一つの目標を達成するために、チーム一丸となって取り組む必要があるので、チームワークの大切さを実感できるでしょう。
想像力を引き出すジェスチャーゲーム
ジェスチャーゲームは読んで字のごとく、ジェスチャーを当ててもらうだけですが、ジェスチャーの難易度を上げるほど想像力を高める練習になります。また言葉を使わないノンバーバル(非言語)コミュニケーションなので、表現力や相手の意図を読み解く力も身につくアクティビティです。
ジェスチャーゲームの進め方は、まずファシリテーターを選出します。ファシリテーターはジェスチャーする人を選んで、何をするか伝え、周りの人はジェスチャーの内容を当てます。
新入社員研修での活用例としては、ファシリテーターとジェスチャーする人を交代制にし、一巡した時点でジェスチャーを当てた回数が多い人を勝ちとします。
グローバル化・IT化が進む現代は多様性が重視されます。そのため、こうしたノンバーバルコミュニケーションのスキルアップはあらゆるビジネス現場で役立つでしょう。
新入社員に一体感が生まれるような環境は、円滑なコミュニケーションが求められるので、その意味でもアイスブレイクは大いにメリットがあると言えます。
オンラインで効果的なアイスブレイク
コロナ禍では新入社員研修をオンライン実施した企業がたくさんあります。そこで、オンラインで効果的なアイスブレイクをご紹介します。
オンラインだから使えるポーズ当てゲーム
ポーズ当てゲームはオンラインならではのアイスブレイクで、笑いやリラックスにより、画面内の雰囲気を和ませることができます。
このゲームの進め方は、まず参加者全員がビデオをオフにします。そして講師は何かしらのポーズをするように、参加者に指示を出します。
このとき、講師も自らポーズをとり、たとえば右の手のひらを頭のてっぺんにつけた状態で「右手を頭につけてください」と伝えます。
全員がポーズをとったら、一斉にビデオをオンにして、講師と全く同じ姿勢なら一体感が生まれます。もし、参加者の姿勢がそれぞれ違っても笑いが生まれるので、いずれにしても参加者は一体感を覚えるでしょう。
新入社員研修がオンラインであっても、参加者の緊張をほぐし、発言や交流がしやすい雰囲気づくりは必要です。そういう意味でもアイスブレイクの効果は非常に高いと言えます。
おわりに
Z世代の新入社員はデジタルネイティブと言われている反面、リアルでのコミュニケーション機会が少ない傾向です。そのため新入社員研修のような場では、アイスブレイクによって場の空気が穏やかになるかどうか決まると言っても過言ではありません。
良好な人間関係を構築するためにもご紹介したアイスブレイクを活用して、新入社員研修を成功させましょう。