作業量が膨大で時間のかかる仕事を抱えている…。非効率な作業プロセスを変えたい…。頑張っているけど思うようにいかないビジネスパーソンの方々は、業務効率化の方法を模索していると思います。
この記事では、作業スピードの改善やムダをなくして生産性を高めるタイムマネジメントについて、ビジネスの現場でつかえる事例を交えてご紹介します。
目次
仕事の質が上がるタイムマネジメントとは?
タイムマネジメントという言葉を聞くと、「時間管理をきちんとすることでしょ!」と考えている方が多いのではないでしょうか。でも実は、単なる時間管理ではありません。まずはタイムマネジメントの本質を知ることから始めましょう。
タイムマネジメントは単なる時間管理じゃない
タイムマネジメントとは、時間を効果的に使って最大限のパフォーマンスを出すための仕事術です。そのため、「遅刻しないように気をつける」とか「時間内に作業を終わらせる」といった単純な時間管理とは異なります。
「作業のムダをなくしたい、作業スピードをもっと早めたい」という方がタイムマネジメントを取り入れることで、チームや企業の生産性向上につながるのです。
ただ企業としては「全体的な生産性を高めたい」というのが本音でしょう。そのため、次のような従業員にもタイムマネジメントを促すことが重要です。
- デスクやPC内の整理整頓ができていないため、作業の開始や書類の提出に時間がかかる
- ミスを引きずって、何時間も業務に取りかかれないでいる
- メールやチャットが気になって、作業に集中できない
- 完璧主義のため自分で納得するまで報連相をしない
こうした失敗の多い方や非効率な作業をしている方に励行させるなど、従業員全体のボトムアップを図ることも生産性向上につながります。
このように、時間を有効に使うためのスキルを身につけ、目標に向かって効率的な行動ができるようになることこそタイムマネジメントの本質なのです。
タイムマネジメントのメリット
タイムマネジメントのメリットは言うまでもなく生産性が高まることです。たとえば、これまで3日かかっていた作業が1日で終わるようになれば、余った2日を別の作業や自己研鑽、休養などに充てることができます。
また目先の一時的な処理能力を高めるだけでなく、継続的なタイムマネジメントができれば、知識やスキルを磨いて新しい価値を創出することも可能です。時は金なりと言いますが、中長期的に考えると、まさにその通りと言えるでしょう。
市場環境が目まぐるしく変化する現代のビジネスに適応していくためにも、時間の大切さを今まで以上に認識してタイムマネジメントに取り組むことが重要です。
逆算思考でスケジュールを明確化
タイムマネジメントの本質はわかったけど、実際に何から始めれば良いかわからない…という方もいるでしょう。そこでポイントとなるのが逆算思考によるスケジュールの明確化です。
目標設定と目的確認
はじめにやることは目標設定です。
どんな仕事にも目的があります。たとえば、福利厚生の手続き業務を簡略化して人件費を削減するとか従業員のモチベーションを向上させる昇給制度を確立するなど。
そのため、まずは自身が携わっている業務の目的、さらにはそれが企業内に波及したときの効果をきちんと理解するとともに、目的達成のための目標(期間や期限)を設定しましょう。
スケジュールは逆算思考で組む
目標が決まったら、ゴールから逆算してスケジュールを組みます。
たとえば、「1年以内に各従業員のExcelスキルをワンランクUPさせる」という目標を設定するとしましょう。
そうすると、次のようなスケジュールが考えられます。
1年後:各従業員のExcelスキルがワンランクUP
↓
9ヶ月後:各従業員のスキル別に必要な研修を定期的に実施
↓
半年後:各従業員のスキルチェックを実施し、学習プランを作成
↓
3ヶ月後:リスキリング導入を周知する
↓
2ヶ月後:リスキリング導入の稟議を通す
↓
1ヶ月後:リスキリングの具体的な進め方や概要を決定
こうして目標から逆算したスケジュールを検討すると、2ヶ月後にはリスキリングの導入が必至なので、今やるべきことは「リスキリングの具体的な進め方をリサーチして社内での実施概要を考案する」ということが確認できます。
ゴールを意識したToDoリスト
具体的なスケジュールが決まったら、目標達成のためにやるべきことをリスト化します。
前述の例でいうと、1ヶ月後の「リスキリングの具体的な進め方や概要を決定」のために、リスキリングを自社内で行うか研修会社に依頼するか?その場合のコストはいくらか?など、詳細なToDoリストを作って考案をまとめます。
このように、目標から逆算して考えることで、これからいつ・何を・どのように取り組んでいけば良いかが明確になります。
優先順位を決めてスケジュールを見える化
スケジュールが決まっていても人間が行っている以上、各作業が予定通りにいかない場合もあります。そんなときに有効なのが優先順位を意識することです。
重要度と緊急性のバランスが大事
重要度と緊急性はよくマトリックス図で表現されることが多く、すでにご存知の方も多いと思いますが、この機会に再認識して日々の業務に落とし込みましょう。
- 重要かつ緊急
例)締め切り間近の顧客に対する企画書作成・システム異常の対応など - 重要だけど緊急ではない
例)新入社員研修の見直し・勤怠システムのデジタル化・従業員の健康維持のための取り組みなど - 重要ではないが緊急
例)突発的な問い合わせや作業依頼・予定外の来客対応など - 重要でも緊急でもない
例)発言権も議決権もない話を聞くだけの会議・目的のないSNS閲覧やネットサーフィンなど
このように、各作業を(1)〜(4)に区分けすると必然的に優先順位が決まります。
仕事の特性から優先順位を把握
優先順位の決め方は仕事の特性から考える方法もあります。
- クリエイティブな発想が求められるもの
期限は決まっているけど、時間をかければより良いアイデアが生まれるとは言い切れない場合、大切なのは作業にあたる環境です。たとえば、午前中が一番パフォーマンスを発揮できるという方なら、その時間に集中して作業にあたります。つまり、その時間に他の予定を入れないことが重要です。 - マニュアルに沿って作業を繰り返すもの
決められた作業の繰り返しなら、どのくらい時間がかかるのかを把握し、その時間を確保していれば他の作業への支障はないはずです。そのため、優先順位は低めと言えます。 - 時間を拘束されるもの
時間を拘束される場合は、他の予定を入れることができないので、優先事案となります。ただ時間を拘束される割には成果が少ない作業なら、優先順位を下げることも検討しましょう。 - 一任されているもの
すべての作業を任されている場合は、期限さえ守ればやり方は自由ですが、優先順位は難易度や作業速度によって異なります。そのため、自身の能力に合わせたスケジュールを組むことが重要です。
日々のスケジュールを見える化
優先順位を決めたら、細かいスケジュールまで意識下でコントロールできるようにしましょう。たとえば、手帳やカレンダーに各作業を記載するとき、作業順位別に色分けします。
そうすると、スケジュールを確認したとき、常にどの作業を優先すべきかを認識できます。手書きのものなら複数カラーのボールペンや付箋を使うと良いでしょう。
またExcelで作成したスケジュール表やGoogleカレンダーなど、デジタルツールを活用するときは、セルやテキストを色分けするとわかりやすくなります。
私たち人間は頭でわかっていても、行動段階で忘れてしまうことが少なくありません。常に目標を意識して行動できるように、優先順位を決めてスケジュールを見える化することが大切です。
作業効率の改善におすすめのタイムマネジメント術5選
ここからは従業員一人ひとりの性格や目の前の作業に対して有効な個別のテクニックをご紹介します。スケジュールに従って作業しているけど思うようにいかない…という方はぜひ参考にしてみてください。
タイムボックス化で一気に仕上げる
タイムボックス化とは、一定時間を確保してやるべきことを決め、その時間内にタスクを完了することです。
たとえば、今から90分で上司から依頼された営業部の人事評価シートを作成すると決めて、その作業に集中します。この間、メールをチェックしたり、別の企画を考えたりすることはしません。
作業時間がわかるものは集中して行うと早く完了することができるので、生産性の向上につながります。
意外とつかえるポモドーロテクニック
ポモドーロテクニックは、25分間の作業と5分間の休憩を交互に繰り返すタイムマネジメントの手法です。スマートフォンのタイマーをセットして作業を始め、アラームが鳴ったら休憩。これを繰り返します。
脳が疲れを感じる手前で休憩をとるため、集中力を長く保つことが可能です。
エクササイズで脳の疲れを改善
長時間の作業中に軽く運動すると、血流が改善し、脳に酸素を供給します。
たとえば、13時から15時まで従業員の残業時間をチェックする作業の場合、50分ごとに休憩して首を回したり、屈伸したりします。
最もデジタル関連の仕事は連続作業の場合、安全衛生上の問題で一定時間毎に休憩や小休止が定められています。そのため、健康を意識することもタイムマネジメントの一環です。
ミスをなくすマルチタスクの回避
一度に複数のことをしようとすると、脳の処理が追いつかず、ミスにつながる可能性があります。時間に追われているとあれもこれも一気に片づけようとして、入力漏れや計算ミスなど、失敗を招きがちです。
誰でも余裕のない日はあると思いますが、そういうときこそ落ち着いて、一つずつ対処していくことが大切です。
時間のムダをなくすデジタルツールの活用
大量のデータ入力や計算、手作業のため時間がかかるなど、もっと時間を短縮したいと思うことは少なくないでしょう。そんなときに便利なのがデジタルツールの活用です。
たとえば、業務上使用するソフト上で同じ日付を何箇所も入力する作業があるとします。それをExcel上で日付を1箇所入力してマクロ登録によりCSVに書き出し、同ソフトにインポートするだけで自動的にすべての日付が登録できるとしたら、作業時間は大幅に短縮できます。
デジタルでもアナログでも、私たちの工夫ひとつで生産性は大きく改善しますので、タイムマネジメント術をマスターして業務効率化を目指していきましょう。
定例業務の自動化でさらにスピードUP
デジタルツールの活用は業務効率化を目指すにあたって非常に有効な手段ですが、ここではもう一歩踏み込んだタイムマネジメント術をお伝えします。
Power Automate Desktop活用のススメ
Power Automate DesktopとはMicrosoft社のソフトウェアで、プログラミングができなくても作業プロセスを自動化できるのが特徴です。
Power Automate Desktopを活用して業務効率化が目指せる講座
Microsoft社製のRPAツールを使い、ExcelなどのOffice製品の自動化やWebページからの情報収集自動化といった普段の業務でよく行われる作業の自動化手法を学習します。
日々の業務の中で一つひとつの操作は簡単であっても、毎日あるいは何度も処理するとなれば、面倒に感じることが多く時間もかかります。
たとえば、勤怠データから給与明細書を作成するとき、データの転記や確認作業に1時間かかるとします。しかし、その作業がPower Automate Desktopを使うことで1分以内に終わるとしたら、生産性は間違いなく上がります。
Power Automate Desktopのようなツールを駆使したタイムマネジメント術は今後、企業のDX化を促進する意味でも重要なスキルになりますので、ぜひこの機会に習得することを検討してみてはいかがでしょうか。
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