特別な知識やスキルを持っている証明として普及しつつあるオープンバッジ。一方で、オープンバッジという言葉を聞き慣れない方もまだまだ多いのではないでしょうか。
この記事では、主に人材育成に関わる方やキャリアアップを目指すビジネスパーソン、クリエイティブ関連のお仕事をされている方に向けて、オープンバッジとは何か?またその必要性やメリット、活用事例などを詳しく解説します。
オープンバッジって何?
オープンバッジとは一体どんなものなのか?まずはその全体像をお伝えします。
オープンバッジとは
オープンバッジとは、学んだ知識やスキルをオンライン上で証明できる学習成果に関する検証可能な情報を含む画像ファイルです。たとえばプログラミングのコンテストで入賞したら、その証明としてオープンバッジを付与し、そのバッジにはコンテストで入賞した情報がわかるようになっています。
オープンバッジは世界標準の規格に沿って発行されており、とりわけブロックチェーン型のオープンバッジは偽造や改ざんが難しいため、信頼性のある学習・資格証明として活用できます。
オープンバッジの特徴
オープンバッジには次のような特徴があります。
- デジタルだから便利
デジタルフォーマットは保管場所が不要で半永久的に保存できます。 - 誰でも確認できる
インターネットがつながる環境であれば、SNSでシェアするなど、誰でも皆さんのバッジを確認できます。 - 多様なスキルを証明
学校の成績に限らず、さまざまなスキルをオープンバッジにより証明することが可能です。
DXの一環(ペーパーレス化)により、資格証明書が紙の証明書を廃止としてデジタルバッジへと置き換わっているケースも増えています。
他の証明方法との違い
認定証や合格証、合格を証明するものは紙で発行されることが一般的です。しかし、オープンバッジは発行者・取得日・スキルの詳細など、多くの情報を埋め込み、デジタル認定証として活用できます。
また、NFT(Non-Fungible Token)でも用いられる技術であるブロックチェーンの仕組みを使って、オープンバッジを安全に、そして特別な価値を与えることも可能です。
※ブロックチェーン
ブロックチェーンとは、データを安全に保存するための連鎖状のデータベースです。各ブロックは前のブロックとつながっており、改ざんはほぼ不可能です。仮想通貨や契約など、多くの用途で使われています。
※NFT
NFTとは、デジタルアートや音楽、ゲームアイテムなど、一点もの(非代替性)のデジタル資産を証明するためのトークンです。各NFTは独自の価値を持ち、ブロックチェーン上で取引されます。これにより、デジタルでも所有権を明確にできます。
なぜ、オープンバッジが必要なのか?
オープンバッジの必要性が高まっている理由は何なのでしょうか。バッジ取得を目指す方のメリットから普及の背景を探ります。
スキルの可視化
多くの企業で人材不足が叫ばれる中、優秀な人材を発掘するためには、誰にどんなスキルがあるのかを知る必要があります。オープンバッジはテストや資格など、従来の評価方法では測れない多様なスキルや経験を証明することが可能です。企業からスカウトされる人材としてアピールする意味でも、スキルを可視化することはメリットが大きいと言えます。
リスクの回避
紙の証明書や資格は、紛失・破損のリスクがあります。実際、紙の証明書を紛失した場合、提出を求められたときに再発行などの手間がかかります。しかし、デジタルデータはそうした心配がなく、持ち運びや共有もオンライン上で安全に管理できます。
グローバルな認知
先ほどもお伝えしたように、オープンバッジはインターネット上で簡単に共有できるため、世界中の人々に自分のスキルを証明できます。自身のスキルを売り込むグローバルな認知度を高める手段として有効です。事実、バッジの詳細情報は公開されているため、その信頼性は誰でも確認することが可能です。
モチベーションの向上
オープンバッジは多様なスキルや経験を証明する新しい手段ですが、キャリアアップを目指す方にとっては明確な目標(バッジ取得)があることで、学習や仕事に対するモチベーションが高まると言えます。
オープンバッジはどこで使う?活用事例を紹介
実際にオープンバッジの活用場面について、取得する側と発行する側、双方の事例をご紹介します。
オープンバッジの有効活用
オープンバッジを取得した方は次のような機会で活用することが有効です。
これまでにない学習経験の証明:オンライン講座の修了や斬新なワークショップの参加により習得したスキルの証明。
ポートフォリオの強化:デザインやプログラミングなど、クリエイティブな仕事に就く(案件を獲得する)ときに強調できPR材料。
職場でのスキルアップ:社内研修やプロジェクトでの成果を見える化し、キャリアアップにつなげる。
オープンバッジの発行事例
オープンバッジの発行事例としては、
- AWSやMOSの認定資格を取得した方の合格証明
- 職業訓練を受けた方に対し、その成果やスキルの証明
- 企業内の研修やプロジェクトにおいて、それらの修了者に対し、キャリアパスを明確にするスキル可視化
など、大学をはじめとした教育に関わる団体や資格試験の主催者が活用している場面が多く見受けられます。
またDXを推進する国も、デジタル庁は国や地方公共団体が実施する事業においてデジタル機器やサービスの利用方法などを教えるなど、デジタルの利活用をサポートする取り組みをされる方にオープンバッジを発行しています。
※情報引用元:https://www.digital.go.jp/policies/digital_promotion_staff_openbadge
Winスクールのオープンバッジ
Winスクール(ピーシーアシスト株式会社)では、2023年8月1日よりオープンバッジを活用した人材育成サービスを提供しており、企業内ではもちろん社会全体で評価・認識されるよう支援しています。当サービスで発行するオープンバッジはブロックチェーン技術を用いた信頼性の高いものです。
受講者の努力と成果を公平に評価し、リスキリングとアップスキリングを促進する手段として活用いただけます。
オープンバッジの課題と今後の展開
オープンバッジの普及は、DX推進の流れから今後さらに高まると言えますが、課題もあります。
オープンバッジが抱える課題
オープンバッジの普及に向けて一番の課題は信頼性の確立です。
難解な資格を保持していることや高学歴であっても、スキルや経験を業務やキャリアに生かすことができなければ意味がありません。実際、オープンバッジは誰でも発行できるため、そのバッジがどれだけ信頼できるのかは評価の肝となります。
そのため、バッジの取得を目指す方もバッジを発行する側も、信頼性の高いバッジであることにフォーカスすることが大切です。
オープンバッジの未来
日本ではまだまだオープンバッジを採用している企業や団体が少ないため、まずはその普及が進むことで、認知度が上がります。またブロックチェーンなどの新しい技術とどう組み合わせるかなど、テクノロジーとの整合性も重要です。
オープンバッジは未知数な面もあるため、今後の市場動向に目が離せない状況ですが、DX推進という意味では着々と普及していくと言えます。
おわりにーー
オープンバッジはデジタルの「勲章」のようなもので、特定のスキルや成果、経験を証明するために発行されます。この新しい評価手段は今後、教育機関をはじめ企業や各専門家など、多くの場面でその価値を発揮していくことでしょう。
私たちWinスクールが開催を予定している「第4回Winスクールデザインコンペ(2023年11月1日から1月15日)」でも「オープンバッジデザイン」の部門があります。
とりわけ「オープンバッジって何?」や「オープンバッジについて興味があるけれど、詳しく知らない」という講師やクリエイターの皆さんは、ぜひこの機会にオープンバッジについての知識を深めてくださいね。
スキルの可視化に貢献する「オープンバッジ」を活用した人材育成サービスを開始しました
デジタル時代の成果の証明として、オープンバッジを活用した人材育成サービスを2023年8月1日より開始いたします…