
「将来何をしたいのかわからない」「自分に合った職業は何だろう?」そんな悩みを抱える学生や社会人の方は、自身のキャリアをどのように形成していけば良いのでしょうか。
この記事では、キャリアの迷路から抜け出す職業選択の悩みを解決するための具体的なステップを「Want(やりたいこと)・Can(できること)・Must(社会から求められていること)」の3つの観点からご紹介します。
目次
キャリア形成に有効な3つの観点
将来のキャリア展望と自身の適性を見極めるためには、さまざまな考え方・ツールがありますが、その中でも「Want(やりたいこと)」「Can(できること)」「Must(社会から求められていること)」の3つの観点から自分と向き合うことはとても有効な手段です。
3つの観点との向き合い方は、それぞれを深掘りして言語化するなど、自分自身の棚卸作業を行います。
Want(やりたいこと): 自分が情熱を持って取り組めることは何か、自分の興味や価値観を深掘りする。
Can(できること): 自分の持っているスキルや経験、得意とする分野を明確にする。
Must(社会から求められていること): 現在の市場や業界のニーズを理解し、それにどう応えることができるかを考える。
このプロセスは、自分自身の内面的な動機と外部の市場環境を結びつけることで、実現可能で満足度の高いキャリア形成に役立ちます。自分の「やりたいこと」を理解し、「できること」を最大限に活用して「社会から求められていること」に応えることが、自分にぴったりな仕事にたどり着くための最適解です。
3つの観点の具体的な考察方法については次項から順を追って解説します。
キャリア形成はじめの一歩はWant(やりたいこと)への気づき

よく「好き」を仕事にするという言葉を聞きますが、そもそも自分の好きなことがわからない方はどうすれば良いのでしょうか。そこで大切なのが興味分野、Want(やりたいこと)の深掘りです。
興味分野のリストアップ
「自分が本当に好きなことは何か」を知るためには、興味分野を明確にすることがはじめの一歩です。
思いつきでも構いませんので、早速ノートやメモ紙を用意してWant(やりたいこと)を書き出してみましょう。
たとえば、
- 海外の方と交流して外国語を話せるようになりたい
- サッカーがもっと上手くできるようになりたい
- 一日中ロールプレイングゲームで遊んでいたい
・・・というように、最初は個人的な興味を感情のまま抽出します。
一人ブレーンストーミング
自分が興味のあることをリストアップしたら、今度は脳内でその興味分野から想起できるキーワードをピックアップしてみましょう。どんなことでも構いません。Google検索で表示されるサジェストのように、自分の思いつくままに書き出します。
先ほどの事例で言えば、以下のような言葉が候補です。
- 海外の方と交流して外国語を話せるようになりたい〜アメリカ・イギリス・英語・英会話・中国・中国語・貿易・商社・・・など。
- サッカーがもっと上手くできるようになりたい〜サッカー・ヨーロッパ・南米・プレミアリーグ・実況・ゲーム・スポーツ・日本代表・・・など。
- 一日中ロールプレイングゲームで遊んでいたい〜ドラクエ・FF・ゲーム制作・プログラミング・JavaScript・アニメーション・企画・ロードマップ・・・など。
振り返りとフィードバック
リストアップした興味分野が「なぜ、そう思うのか」や「自分の性格に合っているか」を確かめるために、過去の振り返りや周囲からのフィードバック収集をしてみましょう。
子どもの頃や学生時代、社会人になって以降と、それぞれの時期で楽しかったことや時間を費やしてきたことを年表のように振り返ります。また同僚や上司、友人からのフィードバックを積極的に求め、自分の強みや改善点を理解します。
そうすると、リストアップしたものと過去の自分や周囲の見解が脳内でシンクロして「あ、私、これ好きかも」や「これ、やってみたい」という気づきがあります。
事例:Aさん(20代女性会社員・建設会社勤務・入社3年目で転職を検討中)
(興味分野)絵が好きでデザインを考える仕事に興味がある
↓
(キーワード)イラスト・デザイン・デザイナー・ホームページ・建築・CAD・風景・写真
↓
(振り返り)子どもの頃から絵を描くのが好きで親から学校の先生から上手だと言われていた。
大人になってからカメラを買って、趣味で風景写真をよく撮っている。
(フィードバック)同僚や上司にはよく「Aさんは色の選定が的確」と言われる。
↓
Webデザイナーの仕事とか面白そう・・・。
キャリア形成に必要なCan(できること)の深掘り

Want(やりたいこと)を深掘りしたら、次は自分のスキルセットと能力、すなわちCan(できること)を改めて理解し、それをどのように活用できるか把握します。
スキルの明確化
自分がこれまでに培ってきたスキルや経験をリストアップしてみましょう。
たとえば、
- Excelの基本操作ができる
- ITパスポートの資格を持っている
- 大学時代にプログラミングの大会に出場した
- Web制作会社でデザインツールを使った業務に3年半携わった
・・・など、レベルに関わらずできることを書き出します。
また保有資格や学歴・職務経歴だけでなく、趣味やボランティア活動での経験もリストアップしてみてください。例としては「学生時代に1カ月間バックパッカーでアジアを横断し、多様な価値観を知った」や「ゴミ拾いのボランティアで環境保護の大切さを学んだ」のようなことです。
能力評価ツールの活用
自分の持っているスキルや経験が何に役立つのか、どんな分野で生かせるのかを知るために、能力評価ツールを活用するのも一つの選択肢です。たとえばMBTIやストレングスファインダーなどのツールによって、自分の能力や性格をより深く理解します。
スキルギャップを分析
自分のスキルを客観的に把握したら、Want(やりたいこと)とCan(できること)のギャップ分析を行います。現在のスキルと興味のある(やりたい仕事の)分野で必要とされるスキルギャップがどれくらいあるかを明確にするということです。
仮に、ゲームが好きだからゲーム制作の仕事に関わりたいとします。その基盤として学生時代にプログラミングを学んだことである程度の知識・技術はあるけれど、キャラクターのデザインを描くスキルはない場合、それがスキルギャップです。
目指すものとのギャップがわかれば、どんな行動をすれば良いかが明確になります。お伝えしたゲームの事例では、デザインについて学ぶことが適切な行動と言えます。
キャリア形成におけるMust(社会から求められていること)とは?

Want(やりたいこと)とCan(できること)を明確にしたら、最後にMust(社会から求められていること)を見極めます。どんなに情熱やスキルがあっても、その需要がなければ理想の仕事にはたどり着けません。Mustの考察はその文字通り、必要不可欠です。
市場動向を理解する
世の中は常に需要と供給のバランスで成り立っています。パソコンやスマホを欲しがるまたは必要な方がいるから、それらを製造・販売する業者が求められます。労働市場も同じで、たとえばDXを推進したい企業はエンジニアが足りないから、エンジニアの求人を募集するのです。
興味分野やスキル・経験のリストアップから導かれる業界のトレンドや将来性、職業の需要はどのような状況でしょうか。現在の市場をリサーチしてみましょう。
デジタルスキルの需要
市場をリサーチすると、多くの企業が今、DX(デジタルトランスフォーメーション)への必要性を感じていることがわかります。そのため、これからの就職・転職にあたっては、とりわけデジタルスキルの需要が高いと言えます。
デジタルスキルはAIの導入やデータ分析・利活用といった高度なものだけでなく、日常的に行う業務の自動化・効率化といったことも含まれるので、Excelを基礎から学ぶだけでもデジタルスキルは向上します。
たとえデジタルデバイスへの苦手意識があっても、興味分野(やりたい仕事)であればモチベーションを保つことは可能です。今後のキャリア形成に向けてデジタルスキルを身につけましょう。
適応力の強化
グローバル化やテクノロジーの進化が急速な現代は適応力が求められます。適応力とは、環境に適応するのではなく働く場所が変わっても実力を発揮できることを指します。
たとえば「A株式会社のシステムは扱えるが、B株式会社のシステムはゼロから教育を受けないと扱えない」や「Pythonはできるけれど、Javaは知識がない」という方は、職種が限られてしまいます。そのため、会社や部署が変わっても適応できるように、柔軟性を持って新しい知識や技術を学ぶ意欲を持つことが大切です。
もちろん、昨今は人材育成としてリスキリングを導入している企業が増えており、入社後も学びは続きます。しかし、就職・転職時点で少しでも適応力を身につけることはとても重要です。
理想のキャリアを形成する領域
Want(やりたいこと)・Can(できること)・Must(社会から求められていること)の3つの観点について考察したら、職業や実際に応募する企業を選定をします。
自分にぴったりな仕事はこれ!
3つの観点は円で考えると理想とするキャリアの領域が明らかになります。下図(就活総研 https://shukatsusoken.com/self-analysis/career_3steps/)のように、3つの円が交わる部分に当てはまる職業や企業が自分にぴったりな仕事の領域です。

こうして適性分野が明らかになったら、その職業や職種に就くために必要なスキルの習得や経験を積む方法、効果的な履歴書や職務経歴書の作成方法などを調べましょう。それらを一人ではできない、調べたけれどよくわからないというときは就職・転職エージェントを頼るのも選択肢の一つです。
もちろん、新卒で最初から天職にありつける、転職で収入がアップするなど、確実に成功する方は希少です。また自分の興味も市場の需要も年齢や経験とともに変化します。
しかし、自分の頭の中だけで考えたり、単に人気のある仕事や周囲に勧められる企業をピックアップしたりというだけでは、自分の適性を知ることは難しいでしょう。
だからこそ、今回ご紹介した3つの観点をそれぞれ深掘りし、円で考えるクセをつけることで、自分にとっても社会にとっても価値のあるキャリアを形成していくことが人生の充足感につながります。
おわりにーー
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仕事のスキルに悩んでいる方やキャリアアップを目指す方は、ぜひ本当の自分を知り、理想的なキャリア形成のためにもプロの力を借りることを検討してみてください。