
就職・転職活動は人それぞれ背景があり、目標や性格に合った仕事を見つけるには、まず自分自身を客観的に知ることが大切です。
この記事では、キャリアアップのための転職・子育てがひと段落した女性の職場復帰・非正規雇用から正規雇用を目指すなどの目的を持つ方に対して、向いている仕事に出会える性格分析ツールを紹介します。
目次
本当の自分を知る「MBTI」

MBTIとは、Myers-Briggs Type Indicatorの略称で、アメリカの心理学者カール・ジャングとイザベル・ブリッグス・マイヤーズによって開発された性格分析ツールの一つです。
MBTIは私たち人間の性格を4つの要素(心理的態度・知覚の傾向・判断の傾向・外向性)に分類し、最終的には16のタイプに分けて個人の能力や特性・傾向を診断します。
自己理解や他者とのコミュニケーション、適性がある業務などを把握できるのが主な特徴です。
自分自身がどのようなタイプかを知ることができれば、自分に合った仕事がわかるので、応募する会社選びの参考になりますよね。また自分以外の人のタイプを理解することで、他者との接し方もわかります。
なので、良好な人間関係を保つ方法がわかるのもこの診断のメリットです。
MBTIは就職活動やチーム編成に活用されることも多いので、本当の自分を知る意味でも診断してみる価値はあるでしょう。
ネット上には無料のツールがたくさんありますが、より本格的に診断する場合は、有料の本家(「一般社団法人日本MBTI協会」のように国際規格を有する団体)のツールを受検した方が良いかも知れません。
ただMBTIは科学的根拠に乏しいという批判もあり、結果を過信せず、あくまでも自己理解のキッカケとして利用することが望ましいと言えます。
5つの特性から読み解く「Big5」

Big5(ファイブファクター理論)とは、私たち人間の性格を5つの要素に分類したもので、1990年代に提唱された理論ですが、今でも広く活用されている代表的な性格分析ツールです。
Big5による分類は以下の5つの要素に分かれます。
- 神経症的傾向(Neuroticism):感情の安定性・不安定性に関する傾向
- 外向性(Extraversion):外向的か内向的かを示す指標
- 開放性(Openness):新しいアイデアや体験に対する受容性の有無
- 協調性(Agreeableness):他人との関係性において、対立よりも協調を好むかどうかを示す指標
- 誠実性(Conscientiousness):自己管理や規律・良心に関する特性
Big5は診断によってどの要素が強く出ているかを知ることで、自己理解が深まるだけでなく、自分に合った職種や業務の適性が把握できます。
就職活動においては、単に業界や職種を選ぶだけでなく、業務レベルでの会社選びが大切です。
自身のスキルを例に挙げると「Wordは使いこなせるけどExcelは苦手」という場合、できる作業とできない作業があるように、自分の性格に合う仕事を見つけるためにも性格分析は有効な手段と言えます。
Big5はより精度の高い有料ツールがあります。しかし、ご紹介しているような無料ツールでも本格的なので、ネット上では実用性が高いという声もよく聞きます。
そのため、まずは無料ツールを利用してみて、その上でより精度の高い診断を求めるかどうか判断するのが良いでしょう。
あなたが持つ裏の顔を測定する「HEXACO」

HEXACOは、人間の性格を6つの特性に分類する性格分析ツールです。
HEXACOは、
- Honesty-Humility(誠実さ・謙虚さ)
- Emotionality(感情起伏)
- eXtraversion(外向性)
- Agreeableness(協調性)
- Conscientiousness(誠実性)
- Openness to experience(経験への開放性)
の頭文字(eXtraversionは2文字目ですが)をとったものです。
これは先ほどご紹介したBig5とほぼ同じ要素ですが、Honesty-Humility(誠実さ・謙虚さ)は人格の倫理的・道徳的な部分にフォーカスしていて、能力的なConscientiousness(誠実性)と区別しています。
私たちはよく「彼には表の顔と裏の顔がある」とか「〇〇さんは裏表のないピュアな性格だ」のような表現をしますが、HEXACOはある意味、裏の顔があるかどうか、裏の顔があればそれはどんな顔かを知るツールとも言えます。
組織への適応力がわかる「DISC」

DISCとは、人格の特性をDominance(支配力)・Influence(影響力)・Steadiness(安定性)・Conscientiousness(誠実性)の4つに分類した性格分析ツールのことです。
- Dominance(支配力)は、自己主張やリーダーシップ能力を表します。
- Influence(影響力)は、コミュニケーションや社交的な能力を表します。
- Steadiness(安定性)は、忍耐強さや協調性を表します。
- Conscientiousness(誠実性)は、責任感や粘り強さを表します。
DISCは性格の特性を把握することで、自分自身の思考や行動パターンを理解することが可能です。
そのため、ストレスの原因やコミュニケーション上の問題点を発見しやすく、良好な人間関係の構築に役立ちます。
ただ他の性格分析ツールと比較した場合、職場環境(役割分担やリーダーシップなど)に特化した分析ができる一方、特性の多様性に欠ける限定的な性格分析というデメリットがあります。
現代はより多様性を重視する時代なので、DISC診断による決めつけや思い込みは避けた方が無難と言えるでしょう。
自分の強みを発見する「ストレングスファインダー」

ストレングスファインダーとは、アメリカのギャラップ社が開発した自己理解や個人の強みを見つけるための性格分析ツールです。
ストレングスファインダーはアンケート形式で質問に答えるもので、個人の強みを把握することができます。アンケートには、自分自身の性格や行動傾向・考え方などの質問が含まれており、回答を元に34のストレングス(強み)についてランキングで評価されます。
個人の強みが明確になるので、面接での自己アピールなどに役立つのがメリットです。また強みは業種や職種の特定にもつながるので、会社選びの参考になると言えます。
ただ本家であるギャラップ社のツールを利用する場合は有料となります。
そのため、無料でストレングスファインダーを試したい場合は会員登録が必要ですが、リクルート社が独自に開発して提供しているツール(グッドポイント診断)がおすすめです。
色からわかる性格「カラー・コード」

カラー・コード性格分析とは、人間の性格を4つの色に分けて診断する方法です。赤・青・黄・緑の4つの色に分けられ、それぞれ異なる性格特性があります。
- 赤はリーダーシップや競争心、行動力があり、プレッシャーの下でも冷静に行動できるタイプです。
- 青は知識や理性、分析力に優れ、自分の頭で考えて分析することが好きなタイプです。
- 黄は社交性や楽観性、創造性があり、人との交流が好きで面白いアイデアを考えることが得意なタイプです。
- 緑は安定感や自己管理能力があり、チームプレイヤーとして周りを支え、調和を保つことが得意なタイプです。
カラー・コード性格分析は、ビジネス分野や人間関係の分野で広く用いられ、チームビルディングやコミュニケーション改善のために使用されることがあります。もちろん、自己理解や他者の理解にも役立ちます。
ただそうは言っても、診断には個人差がありますので、結果に対して過剰な固執は避けるべきです。
ちなみに、株式会社色彩舎の提供するカラー・コード診断は、就職活動の参考になる性格診断を12色で解説しており、無料で利用できます。
性格診断の定番「エニアグラム」

エニアグラムとは、9つのタイプに分類された人間の性格を理解するためのツールです。ギリシャ語の「エニア」(9)と「グラム」(線)が起源で、円形の図形に9つの点を配置することで表現されます。
エニアグラムの9つのタイプは、それぞれ特有の性格特性を持ち、異なる思考パターンや感情の表出、行動パターンを示します。
たとえば、
- タイプ1は、完璧主義的で誠実、自己批判的な一方で、敬意や規律を重んじる傾向があります。
- タイプ2は、人とのつながりを重視し、情緒的に共感的で人々を支援するために奉仕することが好きな傾向があります。
- タイプ3は、目標志向的で成功にフォーカスし、評価やステータスを重視する傾向があります。
このように、私たち人間の性格を分析することができるので、個人の行動や思考の動機を知ることに役立ちます。
日本エニアグラム学会では無料で診断できるエニアグラムを公開しています。
この診断ツールは90問あるので、かなり精度が高いと言えますが、当学会ではより正確性のある有料版もおすすめしています。
ただ性格を9つのタイプに限定しているため、個人差や多様性が簡略化されてしまうデメリットもあります。また心理カウンセリングにもよく使われますが、完全に科学的な立証があるわけではないので、診断結果に対する決めつけや思い込みは避けた方が良いでしょう。
まとめ〜性格分析ツールのメリット・デメリット
性格分析ツールは100%正しい結果が出るわけではありません。そのため、実際に診断ツールを利用する前に、今一度メリットとデメリットを留意しておきましょう。
自己理解の促進
性格分析ツールは、自己理解を深めるために有効な手段の一つです。自分の性格や行動パターンを客観的に把握することで、自分に適した職種や働き方を見つけるためのヒントが得られます。
企業側も判断材料として活用
昨今は企業も採用段階で性格面や適性面の判断を行う場合があります。そのため、自己分析を行い、自分の性格や適性を把握していることは有利に働くかも知れません。
また、採用された後も自分に合った仕事を選択できるため、長期的なキャリア形成にも役立つでしょう。
過度な依存は避けよう
性格分析ツールは過度に依存すると、自己分析の妨げになる可能性があります。あくまで参考程度に留め、自分自身の経験や能力・目標に基づいて、適切な職種を選択することが大切です。
また、性格分析ツールが示す結果にとらわれすぎると、自分自身が持っている潜在的な可能性や新たなチャンスを見逃すこともありますので気をつけましょう。
このように、自分の得意不得意や情熱が湧くかどうかといった要素から適職がわかるので、就職活動の参考になることは間違いありません。しかし、完全に信じ切ることは避け、自分自身の判断力や経験・将来の目標を踏まえた上で、応募する会社を選ぶことが大切です。