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【2026年3月・4月改正版】人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)が配置転換を伴う人材育成も対象に!

【2026年3月・4月改正版】人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)が配置転換を伴う人材育成も対象に!

新規事業などの事業展開に伴い、社員にスキルアップさせるためのコストや給与の一部を助成する人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)がこの度、2026年3月および4月の改正で対象範囲が拡大されました。

今回の改正ポイントは、主に企業の人事戦略や配置転換に伴う人材育成、設備投資にも活用できるようになったことです。

この記事では、人材育成を充実させたい企業の担当者さまに向けて、今回の改正ポイント詳しく解説します。

人材開発支援助成金とは

厚生労働省では、人材開発支援助成金を次のように定めています。

事業主等が雇用する労働者に対して、その職務に関連した専門的な知識及び技能の習得をさせるための職業訓練等を計画に沿って実施した場合に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部等を助成する制度です。

事業展開等リスキリング支援コースのご案内(令和8年4月8日版)より引用

簡単にいうと、新規ビジネスやDX推進を目的とした社員のスキルアップに対し、国がそのコストを負担してくれる取り組みです。

国がこの助成制度を続けていること、また今回の改正には、企業で増えている「リスキリングと配置転換」の課題が背景となっています。

実際、次のような課題を抱えている企業は多いのではないでしょうか。
・DX推進のためにIT人材を育てたい
・新しい業務に対応できる人材が不足している
・人材配置を見直したいけれど教育コストが大きい
・以前に助成金の活用を検討したけれど対象外だった
・現場任せのOJTだけでは新入社員が即戦力に育たない

しかし、社員に対するスキルアップの奨励や研修の内製化には、コスト負担が否めません。外部の機関に研修を委託する場合でも、研修期間中の人手不足を埋めたり、スキルアップさせる社員の給与を保証したりする人件費が必要です。

こうした課題を解決するために用意されているのが、人材開発支援助成金です。

2026年3月の改正ポイント

最大の改正はこれ!

今回の改正で最も大きな変更点は、「企業内の人事及び人材育成に関する計画に基づく訓練」が新たに追加されたことです。

「企業内の人事及び人材育成に関する計画」とは、どのような計画を指すのでしょうか。
企業が持続的に成長していくためには、どのような人材が必要なのかを考え、計画的に育てていくことが重要です。

つまり、将来の経営方針に基づいて、
・今後どのような仕事が必要になるのか
・どのような職種の人材が必要なのか
・どの部署にどれくらいの人員を配置するのか

といった人事方針を決めたうえで、社員に必要なスキルや対象となる社員、研修内容などをまとめた人材育成計画を指します。

助成対象となる訓練

人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)の対象となる訓練は、次の3つに当てはまることが条件です。

1.助成対象とならない時間を除いた訓練時間数が10時間以上であること

2.OFF-JT(企業の事業活動と区別して行われる訓練)であること

3.職務に関連した訓練であって以下のいずれかに該当する訓練であること
・企業において事業展開を行うにあたって実施する訓練
・事業主において企業内のデジタル・デジタルトランスフォーメーション化やグリーン・カーボン
ニュートラル化を進めるにあたって実施する訓練
・企業内の人事及び人材育成に関する計画に基づき、対象労働者が今後従事することが予定
される職務に必要となる専門的な知識・技能の習得をさせるための訓練

厚生労働省「人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)のご案内(詳細版)」より抜粋

改正前と改正後の違い

人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)はこれまで、新規事業のための研修・事業展開に伴う研修・DXやGXに関する研修が中心でした。

それが今回の改正によって「事業の変革に伴う研修」だけでなく「人事戦略に基づく人材育成」にも活用できる制度へと拡張されたのです。

項目 改正前 改正後
制度対象 事業展開・DX研修 人材育成計画に基づく訓練が追加
対象人材育成 事業変革に伴うスキル 配置転換・キャリア形成のスキル
制度の位置づけ 事業展開支援 人材戦略支援

これにより、企業は人材育成の幅広い場面で助成金を活用できるようになったと言えます。

今回の改正に関わる助成金の活用事例

繰り返しになりますが、今回の改正では「企業の人材配置や業務の高度化に対応するためのリスキリング施策」にも助成金の活用が可能になりました。ここでは、実際に想定される具体的な活用例を紹介します。

製造部門から品質管理部門への配置転換

製造業では品質管理の専門人材が不足しており、外部委託や中途採用では十分に対応できないケースが少なくありません。

そこで、製造現場で製品の仕組みや工程を熟知している社員を品質管理部門へ配置転換するケースがあります。

この場合、配置転換前に次のような専門知識を習得するための研修実施が想定されます。
・品質管理の基礎(QC手法)
・品質検査の方法や検査基準の理解
・統計的品質管理(SQC)
・不良分析や改善手法
・品質マネジメントシステムの基礎

こうした製造業務も品質管理業務を担える高度な人材を生み出す取り組みが、今回の改正により助成対象となっています。

営業職からDX推進担当への人材育成

業務のデジタル化やデータ活用など、DX推進人材の育成も多くの企業が抱える重要課題の一つです。
しかし、DX推進人材を新たに採用することは容易ではありません。そのため、社内の人材を育成する取り組みが必要です。

そこで、顧客ニーズや業務プロセスをよく理解している営業担当者をDX推進担当として育成します。

この場合、配置転換に向けて次のようなスキルを習得するための研修実施が想定されます。
・DXリテラシー
・データ分析の基礎
・BIツールの活用方法
・業務プロセスの可視化
・ITツール導入の基礎知識

こうした取り組みは、営業戦略やマーケティング施策の改善につながるだけでなく、企業全体の人材育成が充実します。助成金を活用して社内の生産性が向上できるなら、使わない手はないでしょう。

事務職からIT人材へのリスキリング

多くの企業で人手不足が騒がれる中、事務職はAIの登場で求人倍率が低くなったいわゆる人員削減の対象職種とも言われています。そのため、事務職の社員をIT人材として育成する取り組みが進んでいます。

例えば、データ入力や書類作成などの担当から社内の業務システムの運用やデータ分析を担当するIT人材になるためのリスキリングの実施です。
・Excelやデータベースを活用したデータ分析
・Pythonによるデータ処理
・RPAによる業務自動化
・AIや機械学習の基礎

こうした研修で事務職だった社員がスキルアップすれば、これまで手作業で行っていた業務を自動化するなど、業務効率の大幅な改善が期待できます。また、二刀流社員の誕生により人件費の削減も可能です。

このように、今回の改正は「既存社員を専門人材として育成するためにかかるコストを国が負担する」という企業の負担をより軽減できる施策なのです。

研修終了前の支給申請も可能に?

先ほどの「2026年3月の改正ポイント」でお伝えした以外では、長期研修の場合に研修終了前の支給申請ができるようになりました。

人材開発支援助成金は通常、「訓練終了後2カ月以内に支給申請を行う」とされています。それが、訓練開始日から6カ月ごとに区切った期間に条件を満たせば、研修費用とその期間の賃金について、助成金の申請が可能です。

なお、この方法で申請できるのは通学型の研修やオンラインの双方向型研修などに限られますが、「事業展開等リスキリング支援コース」だけでなく「人材育成支援コース」や「人への投資促進コース」でも適用されます。

画像引用元:厚生労働省「人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)のご案内(詳細版)

助成金はいくらもらえる?

助成率と助成額、受講者1人あたりの経費助成限度額は以下の通りです。

画像引用元:厚生労働省「人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)のご案内(詳細版)


さらに、2026年4月の改正では、設備投資に対する助成額の追加支給も認められるようになりました。

助成金を追加でもらうには、設備投資に関する計画書を作成し、研修では事業展開で使用する機器と同じ種類のものを研修(実技)でも使用することなどが条件です。

厚生労働省「人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)改正」より引用

助成金活用にあたっての留意事項

申請時の計画を実施したことを報告

人材開発支援助成金を活用した場合、企業は「企業内の人事・人材育成計画の実施状況報告書」を提出する必要があります。提出期限は、訓練開始日から3年経過後の翌日から2カ月以内です。

ただし、計画で定めた職務に対象社員すべてを従事させたら、その完了日の翌日から前倒しで提出できます。

不適切な運用にはペナルティがある

訓練終了後は、対象社員すべてを計画で予定していた職務に確実に配置しなければなりません。

事実、以下に該当すると、不支給または支給決定の取消となる場合があります。
・合理的な理由なく予定職務に従事させていない
・職務変更の前後で、合理性なく賃金や手当を引き下げている

その他、以下のようなことに対しても、不適切な運用として不支給または支給決定の取消となる場合があります。
・本人の意向を無視した配置
・退職に追い込む目的の職務変更
・処遇引き下げを前提とした配置転換
・生産性向上を理由とした実質的な人員削減

国の制度である以上、助成金は税金を使っているため、制度運用にあたって厳正な監査があるのはやむ得ないでしょう。

助成対象外の訓練事例

2026年4月の改正で、助成金を申請する事業主と密接な関係にある者との間で訓練が実施された場合、助成金は支給対象外となりました。

例えば、部外講師が事業主の親族・訓練のために借りる施設が親会社または子会社)・事業主が雇用している者が訓練を行う教育機関の代表者といったケースです。

厚生労働省「人材開発支援助成金(コース共通)改正」より引用

おわりに

ここまで2026年3月・4月の改正ポイントを中心に解説してまいりましたが、いかがでしたか。

今回の改正により人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)は、「事業展開のための研修制度」から「企業の人材戦略を支援する制度」へと進化しました。

とはいえ、助成金の活用はどうしても面倒なイメージがあります。実際、人材開発支援助成金の活用には一定の手続きが必要です。

そのため、ご不明な点がある場合は、各都道府県労働局の助成金申請窓口に相談することをおすすめします。

なお、私たちは社会保険労務士とタイアップした助成金の申請代行サービス(助成金申請アシスト+)を提供しています。研修と合わせてぜひご検討くださいませ。

最後までお読みいただきありがとうございます。

この記事の情報元:厚生労働省ホームページ「人材開発支援助成金

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