デジタル人材の不足に伴い、IT未経験者でも採用後、社内でエンジニアとして育成する企業は年々増えています。一方、昨今の新卒社員は年齢的にデジタルネイティブ世代でもあり、新入社員研修ではエンジニアとしてのスキル習得を促すことで、即戦力になるという期待が大きいと言えます。
しかしながら、新入社員研修でエンジニアの育成を実施している企業(主に情報通信業)からは、ある共通の課題が浮き彫りになっているのです。
この記事では、新入社員研修に取り入れるべきIT未経験者でも即戦力になれる3つの育成ポイントについて、とりわけ情報通信業の人事担当者向けにわかりやすく解説します。
目次
新入社員研修後に発覚する新卒社員の課題
新卒社員が新入社員研修を経て現場デビューを果たした後、よくある課題は「即戦力のはずが、即戦力になっていない」という現実です。そこで、各現場から寄せられた具体的な状況をお伝えします。
意外と大きい研修と現場のギャップ
新卒社員は即戦力として期待され現場に配属されたのに、一緒に働く上司や同僚と仕事が噛み合わないことが少なくありません。管理者から多く寄せられている声として、下記のような課題が挙げられます。
- トラブル発生時の報連相が不十分
- 指示された内容を正しく理解できていない
- 問題が発生していることを認識できていない
1.トラブル発生時の報連相が不十分
報告の方法(口頭なのか?メールやチャットツール、もしくは書類なのか?)や報告のタイミングがわからず、結果的に必要な報告をしなかったり、遅れたりすることが多い。また報告内容が曖昧で、状況が伝わらないことが多く、問題解決までに時間がかかってしまう。
2.指示された内容を正しく理解できていない
理解していると思い込んで行動した結果、会社や顧客の意図と異なる方向に進んでしまいトラブルにつながることがある。とりわけ細かい部分に対する質問ができず、誤った認識のまま作業を進めがち。
3.問題が発生していることを認識できていない
目の前のタスクに集中しすぎるあまり、問題の本質や影響が及ぶ範囲を正確に理解できず、大きな問題に発展するまで気づかないことがある。結果として、上司や同僚から指摘されるまで問題を放置してしまっている状況。
このように、現場の声を聞くと、人事側としては「新入社員研修はしっかりやっているはずなのに…。なぜ?」と困惑してしまいますよね。
現状を踏まえた人事の課題
現場から寄せられる新卒社員の状況から、人事担当者や研修担当者は研修内容の改善を図るものの、次のような3つの課題が浮き彫りになっていると言えます。
- 新卒社員のスキルレベルを客観的に評価する指標が不足しており、どのような研修が最適なのかイメージしづらい
- 新入社員研修後、彼(彼女)らがどれだけ成長しているかを具体的に把握する手段がなく、効果測定が難しい。
- 新入社員研修後、各社員が適材適所となるような配属先を決めるための客観的なデータが不足している。
こうした現状から、この3つの課題を早急に解決する研修を実施することが重要です。
新卒社員に最も効果的な育成プロセス
新卒社員が即戦力になる新入社員研修の3つの研修内容
新卒社員に会社が期待する即戦力になってもらうためには、具体的にどのような研修を行えば現場でのギャップは解消されるのでしょうか。着実に成果の出る新入社員研修の内容事例をご紹介します。
1.擬似配属研修
報連相が不十分など、新卒社員のトラブルを防ぐにはコミュニケーションの充実が欠かせません。そこで、現場未経験という不安要素をカバーしてコミュニケーションスキルを高めるのが擬似配属研修です。
議事配属研修では、講師が上司役となり、業務を想定した課題を与えます。課題を与えられた社員は、詳細な手順や方法は自らで調べ、考えて解決に向けた道筋を見出すようにします。このような実践さながらの演習を繰り返すことで、コミュニケーションの充実を図ります。
擬似配属研修の様子は以下のYouTube動画でご覧いただけます。
2.スキルチェック
日々の研修でしっかり教えたつもりがスキル不足だった…ということのないように、新卒社員のスキルレベルを客観的に把握するため、研修前と研修後にスキルチェックを実施することは非常に重要です。
スキルチェックは、実際の業務に必要なスキルに適した問題に答えてもらい、その結果をグラフやレーダーチャートで見える化します。そうすることで、社員一人ひとりに対して、「今後、どのスキルを向上させれば良いか」や「どの社員にどの業務を担当させるのか(適切な配属先)」が明確になります。
Winスクールでは、年間10,000人以上の企業研修実績に基づいたスキルテストを企業別に作成し、さまざまな視点からスキル診断することが可能です。
3.ITスキル標準に合わせた学習
エンジニアの育成においては実務レベルのプログラミングスキルを身につけてもらう必要があります。そこで役立つのが、新卒社員がIT未経験の場合でもスキル習得につながる「ITスキル標準(IPA=独立行政法人情報処理推進機構)の段階的に合わせてプログラミング6技能を学習する」プロセスです。
プログラミング6技法とは、Winスクールの造語で
- コードの読み書き
- エラーの管理
- データの取り扱い
- ウェブ開発
など、総合的なスキルを評価するために区分けした各カテゴリーの総称を指します。
プログラミングはその言語の種類だけでなく、英語学習(Reading・Writing・Listening・Speaking)のように各カテゴリーを全体的にスキルアップすることで、新卒社員は即戦力として活躍できるようになります。
※情報引用元:IPA=独立行政法人情報処理推進機構
新入社員研修を外部委託しても大丈夫?
新卒社員が即戦力になる新入社員研修を実施するには、先ほどご紹介した研修内容が必要ですが、研修を内製化できない場合は外部の専門機関に委託した方が成果は出やすいと言えます。
研修を外部委託するメリット
自社の新入社員研修で理想の成果が出ていないのなら、研修を外部の専門機関に委託する方がメリットが大きいのは明らかです。多くの企業が人材不足の中、研修の準備や管理、研修プログラムのリソースを考えれば、外部委託の方が人材育成コストを大幅に抑えられます。
Winスクールの研修メリット
Winスクールでは長年に渡り、2万人のエンジニア研修を実施してきました。そのため、新入社員研修で提供する研修プランは、現場で活躍するエンジニアの声によってブラッシュアップを重ねたカリキュラムです。
まとめ
新卒社員は、研修で習得した知識により指示されたことは何とかできるけれど、問題の発見・解決や柔軟な対応は難しく、期待ほど即戦力になっていない…。こうした企業(とりわけ情報通信業)の新入社員研修を改善・充実させるには、本記事でお伝えした擬似配属研修・スキルチェック・IPA準拠の研修プログラムを段階的なプロセスで実施することが大切です。
DX時代に企業が持続的に成長していくためには、エンジニアの育成がカギを握っています。新卒社員に即戦力となってもらうためにも新入社員研修の充実を図りましょう。
人材育成の内製化が難しい企業様や新入社員研修の成果に悩んでいる企業様は、2025年度の新入社員研修を成功させるためにも、ぜひ研修サービスの導入をご検討くださいませ。
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