多くの企業で人手不足が叫ばれる中、会社の未来を担う新卒社員の存在は貴重です。ただ、そうした期待の一方で、新卒社員がなかなか即戦力として育たない…という声も聞かれます。
とりわけ製造業では、業界特有の課題もあり、人材育成に苦労する企業が少なくありません。
そこで本記事では、新卒社員が即戦力になる製造業で有効な新入社員研修の内容や重要ポイントをまとめました。
目次
製造業の現状〜業界特有の3つの課題
日本の製造業は、これまで自動車産業をはじめ、ものづくり大国として国の経済を支えてきました。しかし今、少子高齢化に伴い熟練工の引退や慢性的な人手不足など、製造業はさまざまな課題を抱えています。とりわけ業界特有の3つの課題を解決することが不可欠です。
慢性的な人手不足
世界に誇る日本の製造業ですが、いま多くの企業で深刻な人手不足に悩まされています。
以下は、新卒者が製造業の会社に入った企業規模別の人数とその割合を示したデータです。
経済産業省ものづくり白書:第2章第1節P43より引用
このデータからもわかるように、製造業において新卒社員が年々減少していることが顕著になっています。
進まないDX
人手不足の解消につながるDX(自動化・効率化)も遅れています。
DXは従業員一人ひとりの負担軽減や製造工程のムダをなくすなど、生産性向上によってさらなる成長につながるものです。しかし、多くの企業でDXの推進担当の不在やデジタルツール(AIやシステム)を開発するエンジニアの不足など、製造業(主に中小企業)を取り巻くDXの現状は厳しい環境と言えます。
技術継承ができていない
製造業が直面する課題は、人手不足やDXの進捗度が低いだけではありません。熟練の技術者が定年や高齢化により続々と引退していく中、その技術が若手社員に継承されていないことは、品質や競争力の低下につながります。
これは「人手不足による作業量の増加で教育の機会がない」や「経験による技術はマニュアル化しにくい」など、さまざまな要因がありますが、こうした事態が続けば事業の継続自体が難しくなることは言うまでもありません。
このように、製造業が抱える3つ課題は連動しているため、悪循環に陥っているのが現状です。これらの課題を解決するには人材育成の充実が必至であり、とりわけ数少ない新卒社員を新入社員研修によって即戦力に育て上げる取り組みが求められます。
製造業で有効な新入社員研修とそのプロセス
新卒社員には即戦力になってほしい!それが企業の経営者や人事担当者の切実な願いだと思います。ではそのために、どのような研修を実施すれば良いのでしょうか。3つの研修パターンを順を追ってご紹介します。
社会人としての基礎スキルが身につく研修
新卒社員に対して最初に実施すべき新入社員研修の内容は、社会人としての基礎スキルを身につけるもの、いわゆるビジネスリテラシーです。
実際、各新卒社員が配属された現場からは「不十分な報連相」や「問題の認識不足」など、一緒に働く上で仕事が噛み合わないという声が少なくありません。即戦力のはずが、即戦力になっていないという研修と現場でのギャップがあるのです。
そのため、報連相やPDCA、5W2Hのコミュニケーションなど、仕事を進める上で基本的な心がけや行動を知ってもらうことで、トラブルや認識不足は最小限に抑えられるでしょう。
製造現場における基本的なルールが学べる研修
社会人としての基礎スキルが身についたら、今度は工場などの製造現場における基本的なルールを学んでもらうことが重要です。
たとえば、
✅時間管理の重要性
✅安全管理のポイント
✅品質・コスト・納期の相関関係
✅5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)の考え方
など、配属前に理解してもらうことで、工場の生産性維持や労働災害の防止につながります。
これらは工場などで働く社員だけでなく、製造現場を管理する側(キャリア採用)の社員も業務上知っておかなければなりません。そのため、新卒社員には採用区分に限らず一率の受講が必要と言えます。
技術が習得できる研修
製造現場における基本的なルールの理解が進んだら、いよいよ技術を習得するための研修を実施します。
具体的にどのような技術が必要なのかは各企業の事業内容によりますが、DX推進のためには、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)の提唱するスキル標準に沿ったものが理想です。
製造業の現状を考えると、生産ラインの設計や管理、ソフトウェアの企画・開発や改善を手掛けるなど、エンジニアとしての技術を習得してもらうことが合理的ではないでしょうか。
製造業の新入社員研修はご紹介した順番で実施することが重要です。
せっかく技術があっても上司や同僚、顧客とのコミュニケーション不足、製造現場の運用・管理ができなければ、生産性やモチベーションの低下につながります。逆に言えば、企業の理念や現状を理解している社員が技術を習得することで、持続的な成長やイノベーションの可能性が広がります。
研修事例からみる企業負担の軽減と成果への期待
製造業で有効な新入社員研修研修を内製化できない場合や自社の研修で成果が出ていないのなら、外部の専門機関に委託する方が、明らかにそのメリットは大きいと言えます。
Winスクールの製造業向け新入社員研修
Winスクールでは製造業の設計技術者向けに次のような研修を実施しています。
上記はあくまで研修事例であり、企業の現状に合わせて研修プログラムをカスタマイズできます。
Winスクールの研修メリット
Winスクールの研修メリットは大きく分けて2つあります。
一つは長年に渡り、2万人のエンジニア研修を実施してきた経験と実績です。新入社員研修で提供する研修プログラムは実際に現場で活躍するエンジニアの声によってブラッシュアップを重ねたものです。そのため、実務的で再現性が高いという自負があります。
もう一つは、助成金を活用できることです。人材育成にはそれなりのコストがかかりますが、デジタル人材の育成は国も推奨しているため、研修費用を大幅に抑制できます。面倒な申請作業もサポートできるので、事務作業すら人手を避けない中小企業にとっては大きなメリットです。
このように、研修の外部委託は、人材育成コストを削減しながら新卒社員を即戦力に育て上げることが期待できます。
まとめ
製造業における新入社員研修は、業界特有の課題に対応しつつ、即戦力となる人材を育成するために重要な人事イベントです。研修を通じて、製造現場で求められる基本的なスキルだけでなく、チームワークや問題解決力を養うことが、企業の成長に直結します。
また、研修プロセスを見直したり、効果的なプログラムを導入したりすることで、企業側の負担軽減と成果の最大化が可能です。
ご紹介した研修事例を参考に、新卒社員が安心して現場で活躍できる環境を整え、会社の未来を支える優秀な人材へと成長させましょう。
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