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PM理論って知ってる?
企業の成長に欠かせない
リーダーシップ醸成

投稿日
2023.03.14
更新日
2023.05.12
PM理論って知ってる?企業の成長に欠かせないリーダーシップ醸成

グローバル化による多様性が重視される現代は市場の変化が激しく、企業は成長し続けなければ経営に対するリスクが高まります。企業が持続的に成長するためには、人的資本すなわち優秀なリーダーが欠かせません。

しかし、人材不足は全国的にまん延しており、企業によっては深刻な状況です。そこでおすすめなのがPM理論を活用したリーダーシップ醸成です。

この記事では、企業の成長に必要な人材マネジメントのあり方について、リーダーの存在価値や求められる質を交えて解説します。

PM理論って一体何?

PM理論って一体何?

リーダーシップを語る上でよく話題となるPM理論は人材育成に携わる方々に根強い人気があり、さまざまな企業で取り入れられている一方、はじめて耳にする方も少なくないでしょう。ここではPM理論の概要やその必要性をお伝えします。

PM理論とは

PM理論とは、目標達成機能(Performance)集団維持機能(Maintenance)の2つの機能を持つリーダーシップについて提唱された理論です。この理論は、有効なリーダーシップを実践するためのフレームワークとして広く受け入れられており、その有効性は数々の研究によって支持されています。

目標達成機能はチームの目標やタスクを達成するために必要なリーダーシップ、集団維持機能はチームメンバーのモチベーションや協力関係を維持するために必要なリーダーシップのことです。

リーダーは目標達成に集中しすぎることなく、同時にチームメンバーのニーズや関心事にも配慮する必要があるため、2つの機能をバランスよく使いこなすことが求められます。

PM理論はもう古い?

多くの企業に広く用いられているPM理論ですが、経営者の中には、「PM理論はもう古い!」という方もいらっしゃいます。実際、PM理論は1960年代に提唱されたものです。

当時に比べると、現代は産業構造や企業文化が大きく異なるため、オワコンという意見もあるかも知れません。

しかし、「目標の達成とメンバーのモチベーションや関係性の維持の両面をバランス良く考慮することが重要である」という考え方自体は、今日でも幅広い場面において有効です。また、PM理論をベースに現代的なビジネス環境に合わせて応用する方法も研究されており、PM理論の必要性は高いと言えます。

PM理論の再現性

理論はたしかなデータがあっても、ときに机上の空論と化すことがあります。PM理論の再現性はどのくらいあるのでしょうか。

結論からいうと、まさにこれからお伝えするリーダーのタイプがビジネスの結果に大きく影響するため、再現性の高い理論と言えます。

そのため、チームビルディング・コミュニケーション・問題解決・意思決定・パフォーマンス管理など、組織のマネジメントにおいてよく活用されています。

つまり、PM理論を取り入れることによって、従業員一人ひとりがより高い自己評価・より高いモチベーション・より良い協力関係を得られるので、結果として企業の生産性は上がります。

リーダーにはさまざまなタイプがある

リーダーにはさまざまなタイプがある

それでは実際に、PM理論からみるリーダー像はどのようなタイプなのでしょうか。ここではリーダーをタイプ別に解説します。

タスク志向か?関係性重視か?

まずリーダーは大きく2つのタイプに分類されます。それは、タスク指向型のリーダーと関係指向型のリーダーです。

タスク指向型のリーダーは、目標達成に向けて目標設定・計画・実行・監査・報告など、タスクを重視する傾向があります。各タスクの達成を最優先にするので、メンバーのパフォーマンスや貢献度といった目に見える結果を評価しがちです。

一方、関係指向型のリーダーは、メンバーの関係性やコミュニケーションを重視する傾向があります。メンバーとの信頼関係を築き、意見交換やフィードバックなどでコミュニケーションを深め、メンバーのモチベーションやチームの結束力を高めようとします。

実際のリーダーシップでは双方の資質をバランスよく持つことが理想ですが、PM理論ではまず、この2つのタイプをさらに細分化してリーダーのタイプを診断します。

タイプ別診断!PM理論からわかる4つのリーダー像

そもそも目標達成機能と集団維持機能を備えていなければ、リーダーとは言い難いかも知れません。しかし、世の中のリーダーは十人十色です。

同じポジションでも人が変わればチームの方針も雰囲気も変わります。そのため、PM理論ではリーダーのタイプをさらに4つ分けて考えます。

  • PM型リーダー:リーダーの資質とも言える2つの機能(目標達成とチームワーク)を兼ね備える理想のリーダー像です。このタイプのリーダーがいるチームは、メンバーの一人ひとりがモチベーション維持や高いパフォーマンスを発揮しやすい環境から、働きやすさを実感できるでしょう。
  • Pm型リーダー:目標達成にフォーカスするタイプのリーダーです。結果を重視するので、計画性や管理体制を徹底し、短期間に成果を出せるのが特徴です。しかし、集団維持機能が低いため、ワンマンになりやすく、メンバーのモチベーションが下がる可能性があります。
  • pM型リーダー:チームワークを重視するリーダーです。良好な人間関係を構築することが得意なので、アットホームな職場環境を作ることができますが、成果を上げるための戦略や指導力に欠ける傾向があります。
  • pm型リーダー:目標達成機能と集団維持機能ともに低い未熟なリーダーと言えます。企業によっては「地位が人を育てる」ことに期待してリーダーを任せる場合もありますが、リーダーをしっかりフォローする体制ができていないと、業績に悪影響を及ぼすかもしれません。

4つのリーダー像から言えることは、まずPM型以外のリーダーは、苦手な部分を補強することでPM型リーダーに近づくことが可能です。そして経営陣や人事担当は、各部署のリーダーのタイプをきちんと見極めることで、適材適所への人材配置が可能になります。

PM理論をリーダーの育成に有効活用する方法

PM理論をリーダーの育成に有効活用する方法

PM理論では前述したように、PM型が理想のリーダーなので、人材育成においては目標達成機能と集団維持機能をそれぞれ向上させることが重要です。

目標設定は必要不可欠

リーダーはチームや組織の目標を明確に定め、それを達成するための戦略を考えることが求められます。そのため、リーダーが目標設定能力を高めるためのトレーニングやチームメンバーと協力して目標設定に取り組む機会を提供することが必要不可欠です。

フィードバックの有効性

リーダーはチームメンバーのパフォーマンスを評価するだけでなく、フィードバックを積極的に行うことが大切です。なぜなら、フィードバックは目標と現状のギャップを把握することができるため、評価の測定や的確な指示という観点から、メンバーとの信頼関係を構築しやすいからです。

またリーダー自身がフィードバックの受け手としても積極的に取り組み、フィードバックの実施方法やフレーミングの仕方を学ぶことで、目標達成機能と集団維持機能の両方が向上します。

チームビルディングの促進

チームビルディングは集団維持機能の向上につながります。そのため、リーダーはメンバー同士の関係性やコミュニケーションの改善に向けた取り組みが必要です。

たとえば、チームビルディングの研修プログラムを導入したり、社内イベント(レクリエーションなど)を実施したりすることで、チーム全体の士気が高まるでしょう。

フレームワークによる技術やプロセスの改善

チーム内の技術や業務プロセスは継続的な改善を行うことが目標達成への近道です。リーダーは指示や調和だけでなく、ファシリテーターとなってフレームワークを活用するなど、メンバーの能力向上を促したり、実力を発揮しやすい環境づくりをしたりすることが大切です。

ちなみに、ビジネスで使われるフレームワークは、PDCA・MECE・SWOT分析・VRIO分析・KPIツリー・カスタマージャーニーマップなど、数多く存在します。リーダーはフレームワークを学んで、業務に活かすことも仕事の一環です。

このように、PM理論に基づくリーダーに必要な2つの機能を向上させることで、リーダーシップを発揮し、組織やチームのパフォーマンス向上に貢献することができます。

成功事例から学ぶPM理論による人材マネジメント

成功事例から学ぶPM理論による人材マネジメント

PM理論を取り入れたマネジメントを行うといっても、その進め方がわからないという企業も多いでしょう。そこで、実際に成功している企業事例をご紹介します。

日立のリーダー育成事例

世界でも有名な日本を代表する企業の一つ日立製作所では、まさにPM理論を取り入れている事例があります。それは日立グループの教育・研修機関(株式会社日立アカデミー)で、積極的にリーダーを育成していることです。

大学教授や外部の有識者によれば、日立の社員は真面目で課題解決の能力が高い一方、ビジョンがなかったり、リスクを取らなかったり(難題にチャレンジしない)といった弱みがありました。これはPM理論でいうpM型と言えます。

そのため、2011年からグローバルな人材として活躍できる次世代のリーダーを創出するプロジェクトを立ち上げ、継続的にリーダーの育成を行っています。

情報引用元:株式会社日立アカデミーホームページ

ジョンソン・エンド・ジョンソンのリーダーシップ追求

製薬・ヘルスケア関連の製品を扱うジョンソン・エンド・ジョンソンの日本法人では、社員一人ひとりがリーダーシップを発揮できる環境づくりに力を入れています。

とりわけ管理職に対しては、マネージャー研修とコーチング研修を実施しており、これは言うまでもなく目標達成機能と集団維持機能の両方の強化につながります。

こうしたPM型の人材を育成する体系が確立されていることは、企業を成長させる十分な要件と言えるでしょう。

情報引用元:ジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人ホームページ

おわりに〜企業の成長にリーダーシップは欠かせない

企業が成長するためにはリーダーシップが非常に大切であることはお伝えした通りですが、そのリーダーシップをしっかりと発揮できる人材を育成する最初の一歩が、PM理論への理解を深めることです。

研修や職場内での教育を通じて、目標設定能力の向上やチームビルディングなど、リーダーに必要なスキルが身につく環境を整え、PM型リーダーの醸成に注力していきましょう。

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