
メールは現代のビジネスシーンに欠かせないコミュニケーションツールの一つです。しかし、適切なマナーや伝わる文面を知らずに送信してしまうと、メール相手に誤解や不快な印象を与えることがあります。
実際、上司や取引先に日頃から友人とLINEのやりとりをするようなメールを送り、トラブルになることも・・・。
そこで本記事では、効果的なコミュニケーションを実現し、業務改善につなげるビジネスメールの基礎知識を解説します。たかがメールとあなどってはいけません。仕事を円滑に進めるためのビジネスマナーとしてきちんと正しい知識を身につけましょう。
目次
ビジネスメールの基本を理解しよう

ビジネスメールは適切なマナーや文面を用いることで、メール相手との信頼関係を構築し、業務の効率化やプロフェッショナルな印象を与えることができます。そのため、ビジネスメールの基本をしっかり押さえることが大切です。
ビジネスメールの重要性
ビジネスメールは電話や対面でのやりとりが困難な場合はもちろん、書類のやりとりや記録を残す意味でも、その利便性だけでなく業務効率の改善やトラブル解決に役立ちます。また実際にメール一本で契約が成立することもあり、現代のビジネスにおいて伝え方や文章力は非常に重要です。
ビジネスメールは共通前提
ビジネスメールで使用する書式や文章はテンプレートのように幅広く認知されています。そのため、ビジネスメールは顧客・社内を問わずどんな人にも通用する連絡手段の共通前提と言えます。
ビジネスメールのマナーとは?

ビジネスメールは共通前提とお伝えしたように、メールを送るときには一定のマナーがあります。
読みやすく返信しやすい文章
よく会話において話が長かったり、話題があちこちに飛んだりする人がいますが、とりわけ文章では内容がわからず伝わりにくいものです。そのため、1メール1テーマ・適度な改行・一文の長さに気をつけるなど、読みやすく返信しやすい書式・文章を意識しましょう。
メールを送る時間
メールを送る時間は、相手の業務時間内であることがベストです。もちろん相手の営業形態や勤務時間・緊急性にもよりますが、一般的に早朝や深夜・休日に送るのは迷惑になる場合がありますので、メールを送る時間には気をつかいましょう。
早めの返信
メールは基本的に返信を期待して送るものです。そのため、問い合わせや要望のメールにはなるべく早めに返信する(24時間以内や1-3営業日以内など)ことが理想です。すぐの回答が難しい場合は、たとえば「確認して1週間以内にお知らせいたします」のように、返信するだけでも相手は安心します。
本文の誤字脱字をチェック
人間なので誰にでも間違いはありますが、誤字脱字は不正確な情報を伝えてしまう恐れがあります。誤った情報はトラブルや信頼を損なう原因になるため、メールを送る前に必ず誤字脱字がないかチェックしましょう。
メールとLINEの混同はNG
日本の労働人口の大半はLINEアカウントを持っているため、連絡はLINEで気軽にやりとりする人も多いでしょう。しかし、ビジネスメールと友人・知人とのLINEを混同してはいけません。なぜなら、LINEでのやりとりと同じ内容をビジネスメールで送ることは、相手を不快にさせる場合があるからです。
このように、メールをする相手との円滑なコミュニケーションを実現するためにも、社会人として最低限のマナーを守る努力が必要です。また上司はビジネスメールのマナーについて、部下の認識が甘い場合は、基本的なメールの書き方を指導することが必要です。
基本的なメールの書き方

それでは実際にメールを作成してみましょう。まずは基本的なメールの書き方をご紹介します。
ビジネスメールのフォーマット
ここでは取引先に挨拶のメールを送るとします。
メールを作成するときに必要となる基本的な入力項目は、件名・宛先・本文・署名の4つです。
- 件名:着任のご挨拶
- 宛先:info@〇〇▲▲.jp
- 本文:
株式会社〇〇
人事部※※課 △△様
拝啓、時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
はじめまして、Winスクールの〇〇〇〇と申します。
本日より、弊社の人事異動に伴い、私が貴社の研修担当をさせていただくことになりました。
前任者からの引き継ぎをしっかり行っておりますが、至らぬ点もあるかと存じます。
その際は、どうぞご指導いただけますようお願い申し上げます。
今後とも、何卒よろしくお願いいたします。 - 署名:
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Winスクール 法人研修担当〇〇〇〇
〒600-8216
京都市下京区烏丸通七条下ル東塩小路町719京都駅前SKビル4F
TEL:代表075-353-5400/法人研修専用075-708-2458
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メールを取引先に送る場合、本文の宛名は会社名と部署名や役職名を記載して、名前には様を付けるのが一般的です。宛名の間違いは失礼にあたるので、それぞれ間違いのないようにきちんと確認しましょう。
またこの事例における本文の書き出し「拝啓、時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。」は、手紙を書くときの常識として伝承されている定型文です。ただ昨今は、「お世話になります」(初めてメールを送る場合)や「いつもお世話になっております」(同一相手に2回目以降のメールを送る場合)のように、手紙よりライトに書き出すことが多く見受けられます。これも間違いではありませんので関係性や立場を鑑みて臨機応変に対応しましょう。
要注意!よくあるメールの失敗例
メールを作成したら、実際に送信するわけですが、送信時は注意すべきことがあります。ここではよくあるメールの失敗例を3つご紹介します。
ファイルの添付を忘れた!
誰しも1度は経験があるのではないでしょうか。たとえば、取引先から見積書や請求書をPDFで送るように依頼されたり、営業担当の社員が営業事務の社員にプレゼン資料をメールで送るように指示したりすることがあります。このとき、メールにファイル添付を忘れてしまうと、メールを受け取った相手は必要な書類がないことで仕事に支障が出てしまいます。
ファイルの添付忘れミスを防ぐ一番有効的な方法は「本文を書く前にファイルを添付するクセをつける」ことです。行動パターンを決めておくことで添付忘れを防ぐことができます。
ファイルを添付する方法
ファイルを添付する方法は、一般的に画像の赤枠で示したクリップのアイコン(アイコンの位置はメールソフトのフォーマットによって異なります)を押して、ファイルを選択すると添付できます。
※画像はGmailの新規メール作成画面です。
意外と知らないCCとBCCの使い方
メールは一度に複数の人に対して同時に送ることが可能です。通常、宛先の欄はTOを指定しますが、他の人にも同時に送る場合はCC(カーボンコピー)やBCC(ブラインドカーボンコピー)を使います。
CCやBCCはメインの宛先ではないものの、メールの内容を知ってもらうために、宛先を追加するものです。上司やチームで行動する業務の関係者をCCに指定することはよくあります。
ただBCCは他のメール受信者にメールアドレスが通知されません。そのため、メインの宛先に他のメール受信者を知らせたくない、または不要な場合にBCCを使います。
よくあるミスは、BCCを指定するはずのメールアドレスをTOやCCに追加してしまい、情報漏洩をしてしまうことです。とりわけ個人情報や機密情報を漏洩すると、損害賠償や法令違反になる場合がありますので、CCやBCCの取り扱いには十分気をつけてください。
避けたいCCの返信ミス
CCで受信したメールを送信元だけでなく全員に返信したり、全員に返信すべきところを送信元のみに返信したりするミスも少なくありません。しかし、情報を共有すべき相手に必要な情報が流れないことや不要な情報を送って手間を取らせることは生産性の低下につながります。
社内や取引先とのルールやメールの内容をきちんと理解し、返信先を間違えないように注意しましょう。
メールは伝えたいことを簡単に連絡できる一方、一度送信が完了すると(Gmailのように送信直後の数秒だけ取り消すことのできるものを除いて)取り消しができません。メールの間違いはトラブルや損害につながることもあるので十分な注意が必要です。
「場面別」伝わるメールの書き方3選
メールの作成から送信まで滞りなくできるようになったら、今度はより伝わる文章を考えてみましょう。次の3つはよくあるビジネスシーンのメール文例(件名と本文)です。
依頼:社内向け
社内で営業担当の先輩社員が、営業事務の後輩社員に依頼するメール事例
件名:プレゼン資料作成のお願い
本文:
〇〇さん
お疲れ様です。△△です。
昨日の会議で決まりました来月から販売される新商品について
営業向けに使用するプレゼン資料の制作をお願いしたい致します。
以下に、概要をまとめましたのでご確認ください。
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内容:新商品の営業向けプレゼン資料
枚数:A4用紙5枚程度
提出形式:パワーポイント
提出期限:〇月〇日
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ご不明な点がありましたら、遠慮なくご連絡ください。
以上、確認の上、対応よろしくお願い致します。
お詫び:ファイル添付忘れ
すでに送ったメールに誤りがあり、お詫びのメールをする事例
件名:添付ファイル「※※※」送付のお知らせ
本文:
〇〇様
お世話になっております。
株式会社△△の▲▲です。
先ほどお送りしたメール「件名:※※の実績と検証報告ついて」に、ご依頼のデータ添付を失念してしまいました。
大変失礼致しました。
本メールにてお送りいたします。
添付ファイル:aabbcc.pdf
お手数をお掛けして恐縮ですが、ご確認をお願い致します。
何卒よろしくお願い致します。
営業:取引先への提案
取引先に提案を持ちかけるメール事例
件名:メール配信業務にかかる時間とコストを80%削減【メール自動配信サポートのご提案】
本文:
株式会社〇〇
営業部 △△様
いつもお世話になっております。
株式会社▲▲の◆◆です。
私たちは、貴社のビジネスプロセスを支援するために、最新のテクノロジーを常に追求しております。
今回、Microsoft社の「Power Automate Desktop」を活用して、貴社のメール配信業務の効率化をご提案させていただきます。
「Power Automate Desktop」は、DX化の一環として業務効率の改善が可能なツールで、メールを自動的に配信する機能も備えています。定型的なメール配信を自動化することで、手動で行なっていた業務コストやヒューマンエラーの低減につながります。
当社の専門スタッフが、「Power Automate Desktop」の導入やカスタマイズに関するサポートを提供いたします。
もし、当社にご依頼いただけましたら、必ず貴社のお役に立てるように尽力いたします。
ご希望の日時と打ち合わせの方法を、このメールに返信いただけると幸いです。
ご検討のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。
このように、場面別にどのようなメールを書けば良いかをテンプレート的に覚えておくと、伝わりやすい文章を書けるようになるだけでなく、メールを作成する時間の削減にもつながります。
話題のChatGPTでメール文が簡単に作れる?

ここまでビジネスメールの基本的な書き方や場面別のメール文例をお伝えしてきましたが、メール文の作成において、さらに便利なツールが生成AIのChatGPTです。
ChatGPTでメール文を作ってみた!
以下はChatGPTを活用したメール文の作成事例です。
従業員に対してExcelのスキルアップをしたい企業から研修依頼の連絡があったとします。その返信メールの文章をChatGPTに作ってもらいました。

ChatGPTの回答は100%正しいわけではないので、回答に対する裏付けが必要です。しかし、設定や背景、条件を入力することで、ほしい情報が瞬時に手に入ります。
そのため、メール文はこの事例のように型を作ってもらって、細かい部分を自社の文言や送信者の言い回しに直せば読みやすくわかりやすい文章になります。
ChatGPTの活用は業務効率の大幅な改善が見込めるので、ぜひ一度お試しいただければと思います。

話題のChatGPTの登場でプログラミング学習はどう変わる?メリット・デメリットも解説
現在話題になっているChatGPT、どんなサービスかご存じでしょうか?今回はChatGPT自身にChatGPTのことや、メリット、デメリットなどを解説してもらいましたので一緒に見ていきましょう。
まとめ
繰り返しになりますが、ビジネスメールは仕事の進捗や意思決定など、重要な情報交換に欠かせないコミュニケーションツールです。そのため、正確かつ明確な情報の伝達が求められます。
またメールを送るときは伝える内容を簡潔にまとめ、親切ていねいな表現を心がけることで、相手に対する敬意や信頼を示すことができます。
本記事でお伝えするポイントを意識したメールの改善により、仕事の生産性を高めていきましょう。