国や多くの企業が推進するDX(デジタルトランスフォーメーション)。ビジネスパーソンなら一度は聞いたことのある言葉だと思います。
実際に「勤務先の会社でDX推進の動きがある」という方もいらっしゃるでしょう。とりわけ製造業や建設業など、DXが必須の業界はその推進が急務と言えます。
とはいえビジネスの現場では、「そもそもDXって何?」や「DXは何から始めればいいの?」という方がまだまだ多いのではないでしょうか。
こうした現状から先日、Winスクールでは「アドバイザーがまるっと解説!今さら聞けないDX入門Excelから始めるDX推進完全ガイド」セミナーを開催いたしました。
この記事ではその開催レポートとして、DXはじめの一歩からその後のキャリアアップの考え方について詳しくお伝えします。
目次
セミナーハイライト
今回のセミナーは、“DXわからないおじさん”としてWinスクールのアドバイザーでもあるキャリアコンサルタントの髙野卓也氏(以下、髙野さん)が、DX初心者の視点で講師を務めました。
“DXわからないおじさん”でもわかるDX
髙野さんは自身がDXに対して苦手意識を持っていることから、自らを“DXわからないおじさん”と位置づけてDXと向き合っています。キャリアコンサルタントという職業柄、キャリアにデジタル技術を取り込みたい、または取り込まなければいけない方々と向き合い、その”意味付け”を明確にし、実践へと踏み出す過程に伴走するのが髙野さんの役割です。
そのため、DXにアレルギーを感じている方でも理解しやすいように、なるべく噛み砕くことと、キャリアコンサルタントという別の視点をお届けできるように心掛けたとのこと。またセミナーはオンライン(Zoom)で開催しましたが、ファシリテーターが最初にZoomの機能(挙手やリアクション、チャットなど)をわかりやすく説明して参加者の受講しやすさを意識するなど、DXの基本の基から始めました。
セミナーのカリキュラム
セミナーのカリキュラムは、DX初心者がはじめの一歩を踏み出せるような内容として、下記3つのテーマを中心にセッティングしました。
1.DXわからないおじさんの疑問
そもそもDXって何?DX推進にはどんなスキルが必要?など、DX初心者が感じる疑問からDX推進のために必要な行動について解説。
2.DX推進の第一歩は身近なソフトから
作業ツールとして一般的なExcelを使いこなすことがDXの第一歩であることやExcel以外のおすすめツールの紹介。
3.DXを推進したらどんな未来が待っている?
DXによる業務範囲や事業の広がり・スキルやモチベーションの高まりなど、今後の可能性やより必要とされる人材になるための思考や方法を模索。
そもそもDXって何?
DXは幅広い領域があるため、「よくわからない」や「イメージが湧かない」という方も多いと思います。そのため、まずは「そもそもDXとは何なのか?」を噛み砕いていきます。
雑学から始めよう
DXがDigital Transformationの略称なら、DXではなくDTではないのか?髙野さんはそんな疑問を抱きました。言われてみれば確かにそう感じますね。
これは英語のTrans(交差する)をXと表現することが多いため、DXと呼ぶそうです。またホームページを作るときのコード、htmlタグでdtを使うことも混同を避ける理由かも知れません。
これらは単なる雑学ですが、DX初心者はこうしたトリビアから始めるのも良いでしょう。ある意味、哲学っぽくて面白いと思います。
DXの定義
国はDXを次のように定義しています。
企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。
何やら難しい言葉が並んでいますが、一言でいうと「デジタル技術を用いて業務を変革し、優位性を確立する」のがDXです。「競争優位性を高めるには個人のスキルアップや会社の成長が必須ですが、同様にデジタル技術の活用なしでは困難である」とも言えるでしょう。
DXは何から始めればいいの?
デジタル化により市場での優位性を高めることが必要と言っても、具体的に何から始めれば良いかわからない…という方は多いと思います。
そこで役に立つのが、国が定めた指針「DSS」です。DSSとは、Digital Skill Standardの略で、デジタルスキル標準と呼ばれています。
DSSは企業全体のDXを推進するために必要な個人の学習や企業の人材確保・育成の指針として、経済産業省とIPA(独立行政法人情報処理推進機構)が定めたものです。DSSは対象者に応じて、次の2つの体系から構成されています。
DSS-L(DXリテラシー標準):全てのビジネスパーソンが身につけるべき能力・スキルの標準
DSS-P(DX推進スキル標準):DXを推進する人材の役割や習得すべきスキルの標準
また少し難解なワードが出てきましたが、「DXが重要だからと言って、AIを導入する」みたいなことは、ハードルが高いですよね。たとえば広大な大地で作物を育てるとき、いきなり種を撒いたり、苗を植えたりはしません。まずは土を耕すことから始めます。
DXもそれと同じで、個々のリテラシーを高めて(DSSを知り)企業マインドを変革することから始めましょう!ということです。
スキルアップで業務効率化
デジタルに対するリテラシー向上を目指し、実際にデジタルツールを活用してスキルアップにチャレンジしてみましょう。
Excelから始める業務効率化
Excelはマイクロソフト社のソフトウェアで、表計算やグラフの作成をはじめ、データ分析やプログラミング機能を兼ね備えた万能ツールです。売上データや勤怠管理など、幅広い企業で日常的な業務を中心に活用されています。
近年は生成AIのような便利ツールが登場しており、脱Excelなんて言葉もよく聞きますが、それはあくまでも日頃からExcelを使いこなしているからこそ言えることです。DX初心者は、まずExcelを使いこなして作業効率の改善を身近に感じることから始めましょう。
スキルアップを推奨する一番の理由
Excelスキルをはじめとしたスキルアップを推奨する最大の理由は業務効率化です。仕事の生産性が上がれば、売上アップやコスト削減につながります。また使える時間が増えるので働き方改革も進むと思います。
業務効率化はDXの根幹であり、社内の業務改善だけでなく起業・副業を含めて今後は必須と言えます。そのため、DX初心者の方も「すでにExcelを活用して業務改善を目指している」という方も、常に自らをアップデートすることで、企業に必要不可欠な人材として重宝されるでしょう。
DX初心者におすすめの2つのツール
デジタルツールを活用することで具体的に何ができるようになるのでしょうか。ここではDX初心者におすすめの2つのツールをご紹介します。
Power Automate Desktop
Power Automate Desktopはマイクロソフト社のアプリケーションで作業プロセスの自動化を実現するツールです。たとえば、ファイル・フォルダの管理や定期的に送る確認メールなど、日常的に行うルーティン業務の作業時間を大幅に短縮できます。
Power BI Desktop
Power BI DesktopもPower Automate Desktopと同じくマイクロソフト社のBIツールで、データ分析や意思決定など、ビジネスのプラットフォームとして活用できます。たとえばデータ分析の結果をレポートにまとめたり、プレゼン資料を作成したりするとき、短時間で完了するのが特徴です。
こうした作業はこれまで、ExcelやPowerPointを使うのが一般的でした。しかし今後は、Power BI Desktopを活用することで作業効率は大幅に改善すると言えます。
ビジネスの意思決定には正しいデータとその分析が必要ですが、そのために時間がかかりすぎてしまうと、市場競争で遅れをとることになります。また作業ミスの防止や人間でないとできないことに集中するなど、生産性の向上は企業の成長戦略にとても重要です。
変化の激しい時代を生き抜くためにも、Power Automate DesktopやPower BI Desktopといったデジタルツールの活用をおすすめします。
FAQ〜DX関連の講座でよくある質問
DXをより身近に感じていただくために、今回のセミナーで受講者から実際にあった疑問点を含めて、よくある質問をまとめました。
Excel・Power Automate Desktop・Power BI Desktopの講座は、受講後にどのようなメリットがありますか?
各講座を受講すると、下記のようなメリットがあります。
・Excel
データ分析の基礎:Excelを使いこなせるようになると、基本的なデータ分析が手軽にできるようになります。これは、ビジネス戦略の策定やKPIのモニタリングに非常に役立ちます。
効率的な業務処理:Excelの関数やマクロを使うことで、日常業務の作業効率が大幅に改善できます。たとえば、VLOOKUP関数やピボットテーブルを使って、複雑なデータ整理が可能です。
・Power Automate Desktop
自動化の導入:定例業務を自動化することで、作業時間を大幅に節約できます。たとえば、日報などのレポート作成やメール送信が自動的に行われるようにすることです。
作業ミスの削減:手作業によるミスが減少します。一度設定してしまえば、その後は自動で正確な処理が行われます。
・Power BI Desktop
高度な :Power BI Desktopを使うと、複雑なデータも視覚的に理解しやすい形で表示できます。これにより、データから意思決定に関わる的確な判断材料の抽出が容易になります。
リアルタイム分析:データの変更をリアルタイムで反映させることができます。これにより、常に最新のデータに基づいた意思決定が可能です。
このように、Excel・Power Automate Desktop・Power BI Desktopを学ぶことで、多角的にデジタルスキルを身につけ、業務効率化やスムーズなデータの分析・利活用が可能になります。
Excel・Power Automate Desktop・Power BI Desktopの3つのスキル全てが身につく講座はありますか?
DX業務推進マスターコースを受講いただくと、それら3つのスキルをまとめて習得できます。とりわけDXを推進している企業の社員やDX推進担当の方には、今後のキャリアアップも含めておすすめです。
政府がリスキリングに対して助成金を出していると思いますが、個人でも活用できますか?
個人で助成金を活用することはできません。
しかし、法人研修なら厚生労働省所管の人材開発支援助成金(人材育成支援コース・事業展開等リスキリング支援コース)を活用できます。受講費用の負担を大幅に軽減できるので、人材育成のコスパは良好です。DX推進として会社への情報提供や相談してみるのも良いでしょう。
また経済産業省のリスキリング支援事業で転職を実現し、継続就業すれば、最大56万円の補助が受けられる制度もあるので、選択肢の一つとしてご検討ください。
セミナーを受講された方の声
セミナーにご参加いただいた方のアンケートより受講者の声(一部)をご紹介します。
※受講者からいただいた回答は原文のまま掲載しております。
DX初心者に寄り添った進め方
- 初歩的なことから知りたかったので、今回参加できてよかったです。また参加したいです。
- 同じようなレベルの方のお話しを聞けて良かったです。
- 堅くなりすぎず楽しく説明していただきありがとうございました。
- 各アプリケーションの説明会では操作方法から入ると思いますが、今回はそもそも‥という点からお話ししていただけたので、イメージしきれていなかった私には大変わかりやすかったです。ありがとうございました。
- DXと言う言葉は正直聞いた事なかったですが、Excelならわかりやすいかなと思い、参加しました。初心者にもわかりやすくて良かったです。今回話が聞けて自分のスキルの幅が広がったと思います。貴重なお話を聞けて良かったです。ありがとうございました。
すでにDX導入企業の社員にも役立つ講座
改めて動画を見てみてとても効率の良い勉強スケジュールが組めそうです。PowerAutomateも導入しており、前任者のフォーム修正等で先日エラーが出たりしたので、ちょうどオンタイムの話で興味深かったです。BIはまだ概要のみでしたので、技術取得していきたいと思いました。
おわりに〜未来の働き方と幸せのカタチ
DXを進めた先には一体どんな未来が待っているのでしょうか。今回のセミナーで講師を務めた高野さんは、「仕事はできることが増えれば生産性が上がり、モチベーションや収入増にもつながるので、笑顔あふれる社会になる」と言います。
このセミナーでお伝えしたスキルは一度身につければずっと使えるポータブルなスキルです。部署や業種が変わっても適応できる能力を身につけることで、企業から求められる人材として活躍できます。
学びに終わりはありませんが、将来の楽しみや希望につながる学びは長期的なウェルビーイングとして人生を充実させます。今回のセミナーでは参加者の87.5%が満足したと回答してくださいましたが、Winスクールでは、さらなる満足度の向上を目指して、今後も講座運営に励んでいきたいと思います。
DX・データ分析・業務効率化「講師が厳選!Winスクールオリジナルのセット講座」
企業が本腰を入れているDX推進!スキルアップがキャリアアップや転職の成功につながります。