Winスクールでは、米国発プロジェクトマネジメントの専門家であることを示す国際資格「PMP®」の取得に向けたPMI(プロジェクトマネジメント協会)公認のPMP®試験対策講座を開講しています。中堅社員のキャリアップにも役立つ資格ですが、どうすれば合格できるのでしょうか。米国PMI認定トレーナーの高橋雅明さんにインタビューしました。
講師:高橋 雅明
米国PMI認定トレーナー(PMI)
ITエンジニアとして約15年の経験の後、研修講師、キャリアコンサルタントに転身。 現在はピーシーアシスト株式会社事業推進室に在籍し、研修企画立案、コンテンツ開発、登壇まで幅広く対応。 主な資格にProject Management Professional、米国PMI認定トレーナー(PMI)、国家資格2級キャリアコンサルティング技能士、フランクリン・コヴィー社認定「7つの習慣」トレーナー、厚生労働省認定国家資格キャリアコンサルタント更新講習講師など。
目次
プロジェクトマネジメントとは?
PMP®資格を語る上で重要なのが、プロジェクトマネジメントという概念です。そもそもプロジェクトマネジメントとは一体何なのか?その全体像に迫ります。
プロジェクトマネジメントとは何ですか?
プロジェクトマネジメントの話をする前に、「プロジェクトとは何か?」についてお伝えします。
プロジェクトとは、会社の中で進める一つの取り組み(たとえば、「〇〇社のITシステム整備」のように)や事業を進めるにあたっての施策というか枠組みの単位をそう呼んでいます。
そして、プロジェクトを責任もって進める中心人物がプロジェクトマネージャーであり、プロジェクトマネージャーの仕事、能力、考え方全般をプロジェクトマネジメントと言います。
プロジェクトマネジメントのスキルを実務に生かすPMP®資格とは、どのような資格ですか?
PMP®資格が登場する以前から、プロジェクトマネジメントを一つの仕事として考えたとき、「一定水準のやり方があって、それに従ってプロジェクトを成功に導くことが必要ではないか?」という問題意識がありました。
そこでPMBOK®と呼ばれるプロジェクトマネジメントの知識を体系化し、「PMBOK®にならってプロジェクトマネジメントを進められる人物を認定しよう!」と始まったのが、PMP®資格が創設された背景です。PMP®資格は国際資格として、PMI(プロジェクトマネジメント協会)というアメリカに本部を置く非営利団体が提供しています。
PMP®資格が広まる以前、プロジェクトはどのように進められていたのですか?
会社にもよりますが、昔はたいてい職場のリーダーや管理者がプロジェクトマネージャーのポジションに就き、その人の経験や感覚で進めるのが一般的でした。そのため、一人のさじ加減に左右されるという依存状態に陥ってしまい、状況によってはプロジェクトが失敗に終わることが少なくありませんでした。
実際、会社から「今回のプロジェクトは〇〇さんに任せる」と言われても、経験のない人はどのようにマネジメントすれば良いかわからないですよね。それで先輩に聞いたり、過去のやり方を真似たりしたわけですが、それではどうしてもムラが出るものです。
そのため、マニュアル的なものがあった方が良いのでは?という現場の声が広まり、日本でもPMBOK®が取り入れられるようになりました。
プロジェクトマネジメントのスキルがあると(PMP®資格を取得すると)、実務にどう役立つのでしょうか?
プロジェクトマネジメントと一言でいっても実際に何をやるのか?みたいなところもあると思います。実をいうと、現在、プロジェクトマネジメントは多様性を受け入れる変革期を迎えています。
従来のやり方は、たとえばプロジェクトの中で実行することを最初にすべて定めておいて、それが完了したらプロジェクト終了という考え方をしています。全体ですべきことが決まれば、各プロセスの作業量から細かいスケジュールやコストが算出できますよね。このようにプロジェクトの進捗・管理をしっかりできるようになるのが、PMBOK®の強みだと思っています。
またプロジェクトの進行にあたってはステークホルダー(スポンサーや外注業者などプロジェクトに関わるさまざまな利害関係者)と良好なコミュニケーションを図ることも重要です。相手は何を期待しているのか?対面で直接話した方が良いのか?揉めごとが起きたらどう対処するか?など、日頃からきちんとコミュニケーションがとれていれば、プロジェクトをスムーズに進められます。
ですので、仕事の中のある一部分ではなく、非常に幅広い場面で役立つスキル(資格)と言えますね。
PMP®試験の特徴と魅力
幅広い場面での活躍が期待できるプロジェクトマネジメント能力を備えるためのPMP®試験はどのようなものなのか?PMP®試験の特徴と魅力を語っていただきました。
PMP®の特徴と魅力を教えてください。
2023年6月現在、日本で受けることができるPMP®試験はオンラインの試験のみで、パソコンを前にして選択式の問題を解いていき、試験終了後はその場で結果がわかるようになっています。試験問題は全部で180問、試験時間は230分と長丁場です。
自分の住まいや慣れた環境で受験できるのはメリットだと思いますね。
PMP®試験はIT業界や建設業界で注目されていますが、業界を限定した資格ではないので、どんな業界の人でも活用できる高い汎用性があります。
PMP®資格を持っていることでキャリアアップにはどのくらい影響がありますか?
私はIT業界の人間なので、IT業界についてお話しさせていただくと、プロジェクトマネジメントの方法論としてPMBOK®に即したやり方を理解しているという情報を業界内で与えることが可能です。ただ、有資格者だから実務をきちんとこなせるかと言えば、必ずしもそうではない場合があります。
これはどんな資格でも同じです。たとえば「プログラミング言語の資格を取得したから、そのプログラミング言語を使ってプログラムを構築できるか」と言えば、経験がないからまだその技術がないなど、実務をこなせる証明にはならないですよね。
それではPMP®資格は何に役立つのか?ということですが、たとえば官公庁の入札案件でこの資格保持が条件となっていることがあります。その場合は当然、資格がないと案件を獲得できる可能性がなくなってしまいます。
つまり、入札案件に参加できることや案件を獲得したとき、そのプロジェクトの中心人物として活躍できるというのがPMP®資格の優位性になると思います。
資格を持っていることと実際にスキルがあることはイコールでないケースがあるとのことですが、PMP®試験を受験できる人は、一定期間のプロジェクトマネジメント経験が必要ですよね?
おっしゃる通り、ある程度の実務経験がないと、合格は難しいと思います。そういう意味では、知識・技能を持っている人がPMBOK®を学んで、試験を受けるのが理想です。
そうすると、この資格を持っていることが先ほどお伝えした入札案件における条件になりますし、これまでの経験を実務に生かせるので、クライアントに対してのアピール材料にもなるでしょう。
PMP®試験のハードルは高い?合格への道のり
実際にPMP®試験の難易度はどのくらいなのでしょうか。ここでは合格のコツを伺いました。
PMP®試験対策講座ではどういったことを中心に教えられているのですか?合格のコツを教えてください。
内容はPMIが試験対策として提供されたコンテンツを使用しますが、それを私が習得しやすいように噛み砕いたコンテンツを使用します。またその中に『成熟度ビルダー』という自習用の基礎問題集があるのですが、私の講座ではその『成熟度ビルダー』の全ての問題を解説しています。
PMP®試験は癖のある問題が多いので、なるべく試験に慣れてもらう意味でも、こうしたスタイルが重要だと思っています。
PMP®試験を独学で合格するには難しいですか?
試験自体は選択式の問題なので、知識を持っているかどうかが合否に影響します。計算問題もありますが、暗記できれば合格の可能性は高いかもしれません。
しかし、答えだけわかっても、なぜその答えになるのかがわからないと、実務に生かすことはできないですよね。それに自習用の教材には、「問題に対して、なぜそういう答えになるのか」といった解説がありません。
ですので、やはり講師を通して学んだ方が理解度も高まり、合格にも近づくと考えております。
さらに、私たちのようにPMIとパートナー契約を結んでおりますが、一部の企業には、PMIから公式問題集の提供を受けております。当講座では公式問題集を分析、整理した上で、受講者に無償で提供させてもらっています。
講師としてPMP®試験対策講座で力を入れている部分はどのあたりですか?
PMBOK®はものすごい情報量が多いので、講座ではどうしてもインプット中心になります。ただ、ずっと聴きっぱなしという状況は受講生にとっても退屈な場合もあります。
そのため、私の経験談を交えるなど、受講生には楽しみながら学んでもらうことを心がけています。
試験問題と答えが実務レベルでイメージできると、講座の魅力はより高まりますね。
そうですね。PMBOK®には本当に無機質な情報がたくさん出てくるので、実務に置き換えたときにどう考えるかは非常に重要です。
洋服の仕立屋をテーラーと言いますが、それに倣ったテーラリングという言葉があります。これはステークホルダーの要望や各プロジェクトに合わせた独自のやり方を作ることですが、PMBOK®でもそういう考え方でプロジェクトに臨むことを勧めています。
先ほどプロジェクトマネジメントは今、変革期にあるとお伝えしましたが、実はその方法も多様化してきているのですね。従来型と新型のように。そのため、現在の試験対策講座では両方のやり方をお伝えてしています。
受講者の声
こうした講師の高い意識が受講生のやる気を引き出し、試験の合格へと導くのではないでしょうか。
以下は、過去にPMP®試験対策講座を受講した方の声です。
- とても良い研修でした。プロジェクトの進め方について体系的に学ぶ事が出来ました。
- 説明は簡単な言葉でわかりやすかったと思います。
- 途中で疑問に思った点など回答頂けるところも良かったと思います。
- テキストだけで学習するのとは違い、頭に残りやすいと感じました。ありがとうございました。
PMP®試験に合格しやすい人のタイプとは?
講師の教え方が重要なのはもちろんですが、受講生の心構えも合格への近道になり得ます。実際、PMP®試験はどのような人が合格しやすいのでしょうか。
受講する側はどのような心構えが必要ですか?またどのようなタイプの人が合格しやすいですか?
やはりプロジェクトマネジメントに対して興味を持っているかどうかは大きいと思います。
どんな学習でも同じだと思いますが、ただ講師に教わることを待っている受け身ではなく、探究心をもって能動的に吸収しようとする姿勢が大切です。実際に、そういう人の方が習得も早い印象があります。
受講生はどのような方が多いですか?
年齢層はバラつきがありますが、比較的30代以降の方が多いですね。
またプロジェクトマネジメントではなくとも、たとえば、ビジネス現場でメンバーを取り仕切っているとかリーダーをされている方が多いです。
「PMP®試験対策講座」他社との違いはこれ!
高橋さんの試験対策講座は他社の講座と何が違うのでしょうか。
PMP®試験対策講座について他社との違いを教えてください。
PMIのコンテンツを使用している場合、基本的にどの研修会社でもコンテンツ自体は同じです。しかし、弊社の場合はプロジェクトマネジメントを実際に経験してきた体験をリアルに語れることが強みだと思っています。
また2023年の5月から講座の内容がアップデートされて、これまでとは大きく内容が変わったのですが、コンテンツへの理解という意味でPMIにかなりの問い合わせをしています。実際にプレビュー版では、50以上の誤りを指摘させていただいております。その中にはPMBOK®の見解に基づく提言なども行わせいただいております。
正直、他社様のサービスは深く存じ上げておりませんが、ただ少なくとも弊社の講座では単にコンテンツを説明するだけでなく、そのコンテンツの意図や背景、PMBOK®が伝えようとしていることなどを詳細に調べてからご提供するようにしています。
PMP®資格は中堅社員のキャリアアップにおすすめ
プロジェクトマネジメントを体系化したPMP®資格は今後、その重要性を増していくことでしょう。
PMP®資格の取得を目指す方に向けてメッセージをお願いします。
日本では昔から言われていますが、プロジェクトマネジメントを行う人材というのが圧倒的に不足しています。その状況は今でもあまり変わりません。なので、PMBOK®をベースとしたPMP®試験に合格するということは一つのチャンスと言えます。実際、社員がPMP®資格を取得することで企業価値が高まる可能性もあります。
またPMP®試験へのチャレンジが二度目以降の方は、新しいプロジェクトマネジメントの型を知る絶好の機会です。なぜなら、PMBOK®は現在、第7版が最新バージョンなのですが、第6版までの内容が大幅に刷新されました。
先ほども触れましたが、プロジェクトマネジメントは今、変革期を迎えています。もちろん、従来のやり方が通用しないわけではありません。
これまでのやり方と新しいやり方の両方をマスターして、柔軟に対応できる能力こそ、これから求められるスキルだと思っています。とりわけ企業の中堅社員の方はキャリアアップのためにも、ぜひPMP®試験にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
さいごに
Winスクール(DXリスキリングセンター)では、スキルアップやキャリアアップ・就職・転職をお考えの方々一人でも多くの方々のお力になられるように「PMP®試験対策講座 無料説明会」を実施しております。
「もう少し、PMP®試験対策講座について知りたい方」「目標がありつつも、選定に迷われている方」は、ぜひ、Winスクール(DXリスキリングセンター)へお問い合わせください。
PMP®資格についてはこちらの記事もチェック!
こちらの記事でも試験の詳細などを解説していますのでぜひご覧ください。